白雲の道治療院

白雲の道治療院は、鍼灸術と量子場調整を用いて心身の健康面の向上、さまざまな症状や機能の向上、能力の増大に努めております。

白雲の道で美しく健康な体を!

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No.060 - 第六章 接触 4

求めて止まないもの

 人は何処から来てこの生で何を求め、どこに行くのか。
 ミーナの心の中で何かが引っかかり始めた。


  「私は、この感情を生きる価値のある人間なのか。
そもそも、この心の深いところで身体を震わす感情は私のものなのか?
 この思いが子供の頃から考えてきた、「私は誰か」という疑問とつながっていた。
この答えが、東京にある気がしていた。

その中で、この感情を生きてみたい。

 ミーナはスイスの深い地下都市の中から、 このように思い、東京に送られた57名の「創造の戦士」たちを観察していた。同時に心の奥底で燻り燃えるこの感情を観察し、東京での体験を想像していた。

 トロンはユキ子と一緒にいる時、彼の心は船が錨を下ろしたように、ゆったりとくつろいでいるのがわかった。

彼は、子供の頃から訓練に次ぐ訓練、時には非情な状況で耐えていたのを知っている。今彼女のような清らかで強い精神は、なじみがあり心の深いところから落ち着くものなのだろう。

 ミーナが、トロンの胸に埋め込んであるチップを通し、あたかも彼から見ているように、彼女の容姿や表情が見える。彼女の目はトロンをまっすぐに見て幸せに輝いている。

疑似体験からトロンも彼女のしぐさや、眼差しをいとおしく見守っているのがわかる。

 スイスの地下都市では恋に心を燃やすような人たちはいない。それは地上世界の幼稚な社会での戯れに過ぎないと考えている。

 トロンとユキ子の出会いをトロン側からの疑似体験から見ていてミーナは思った。
 
「愛されるより愛する人や、そのような仲間がほしい」と。

 ユキ子がトロンを見つめる目と、自分がブライアンを見る目は違う。

 それはなぜか考えた。
 以前ブライアンからショウに仕掛けた拷問の話を聞いたとき、心の底からどうしようもない感情が自分を襲ってきた。
 あまりにもその感情が唐突だったので、その時、何が起こったのかわからなかった。

 今でも、時々ショウの拷問死の時に言い残した言葉、「許せ、、、、」を思い出しただけで、涙があふれだす。この感情はとても辛い。しかし時間が経つにつれ、この中に深い愛を感じて、打ち震える自分がいる。
 

ミヨの遺伝子を持つミーナの身体がショウの思いを映し出している事に彼女は気がつかなかったが、その湧き上がる感情の中に、生まれて始めて深い愛がある事を知った。

だれに教えられなくても彼女の直観が、愛以外の何者でもない事を示していた……
その愛の感触がユキ子とトロンの間にもある。

私はブライアンを本当に愛しているのだろうか。

 そこにブライアンが帰ってきた。
 ブライアンは目の前のいつものソファーに座って、
 「ミーナ、面白い事がわかってきたよ。ミヨが東京に生れ変っている証のようなものを発見した」

 「えっ、ほんとう! その証って?」
 
「まだ、確証はないんだけど、ミヨの発している、思いが東京の数箇所を量子的なバリアーとして守っているのを量子場解析装置が探知したんだ」
 
「その量子的なバリアーってなに?」
 
「それは、結界といって特定の場所を量子的干渉から守る一つの方法だ」
 
「それが、どうしてミヨさんと関係があるの?」
 
「それは、難しいかもしれないけど説明してみよう。人の心は意識するしないに関わず、量子場を変化させている。我々はその場を解析できる科学力に達しているのを知ってるね」
 
「知ってるわ。それがミヨさんと関係あるの?」
 
「そう、我々は地上のこの種の技術をことごとく破壊してきた。そうしなけれ ば我々が危険だったからだ」
 
「それが、どうミヨさんと関係するの」
 
「そう、急かせないでくれ。ちゃんと話すから」
 
「ごめんなさい、ここ最近ミヨさんのことばかり考えてきたものだから」
 
「端的に言うと、ミヨの思念が量子場を変化させ、トロンが入会している恵比寿のスポーツクラブや他数箇所を量子的にシールドしているらしいんだ」
 
「でもどうしてミヨさんが」
 
「そのシールドを解析したところミヨの遺伝子と99、999パーセント符合する」
 
「まって、そのシールドは時空間の場であって人ではないんでしょう。それがなぜミヨさんの遺伝子と符合するの?」
 
「それは、私たちの発見で、どんな思いもその持ち主の量子的レベルでのサインが入っている事に気がついたのさ。例えばある思いを抱いたとするだろう。その時その思いはその人に実現する。どうしてだと思う。

 それはその思いを発したビジョンの中にその人の量子的サインが刻まれているからだ。その事でその現実は自動的にその人に引き寄せられる」
 
「という事はミヨさんが近くにいる事になるのね」
 
「そうなんだ。それにもう一つ彼女は前世で、ある程度の予知能力はあったようだけど、量子的な結界を張り巡らすほどの能力は知らない。もしかしたら彼女の能力に飛躍があったのかもしれないと思っているんだよ。」
 
「え!予知能力があったの。では、、、私にもその能力があるのかしら……もしそんなミヨさんに東京で会ったらどんな事になるのかしら」
 
「それが僕のちょっとした恐怖さ」
 
「だから、私の東京行きを渋っているのね」
 
「それも確かにある。でもいつか会うことになるよ。あせる事はないさ」
 
「早く会いたいわ。ショウにも。。。。。 ほんとうに私の東京行きを許可し
てくれるのね?」
 
「もちろんだ。創造の戦士たちを東京に向けたのは、彼らと出合ってもらいたいからだ。以前のように抹殺するためではない」
 
「うれしいわ」

 ブライアンは、非常に多面的な人間だ。
 一方で、殺し屋を躊躇なく送り込み、一方では創造の戦士に「真実を探求せよ!」といって派遣する。また一方では世界を金融、チップによって金融によっても心理的にがんじがらめに管理監視している。
 
今回の結社ナザレに対しても、同様に非常に複雑な心理戦を企てているのかもしれない。

その目的は以前ヒトラーの科学や財力を吸収し、世界支配を企てたユダヤの金融を根こそぎ奪ってしまったように、ナザレの超人間科学を複雑な状況演出によって奪おうとしている。

そうとも取れるが、今回はブライアン自身も、定かではない多くの想いがよぎっていた。