白雲の道治療院

白雲の道治療院は、鍼灸術と量子場調整を用いて心身の健康面の向上、さまざまな症状や機能の向上、能力の増大に努めております。

白雲の道で美しく健康な体を!

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No.029 - 第四章 接点 1

ブライアン

 東京から珍らしいシグナルがスイスの山奥地下深くに広大な都市建造群を保有しているブライアンの元に届いた。彼は無数に近い報告の中から、この種の情報は第一優先にして早急に選別して報告するように命じていた。

 「なに!あのオヤジが東京に現れ、我々の仕事を妨害しただと!」
 
「はっ、まだその概要しかわかっておりませんが、主事が数人の部下を従えて東京の
一拠点に侵入し、我々の調査中の男女数人を連れ去ったようです。」

「その、詳細をすぐに量子解析画像で表せ。」
 
「既に行ったようですが、衛星での波動探索にも電磁場による振動探索にも解析するデータが見つからないようです。」
 
「あの親父のやりそうな事だ。だが、珍しい事もあるものだな、、、部下を従えたり、人を連れ去ると言うのは初めてのことだ。どのようないきさつか判明しているのか。」
 
「今のところ不明ですが、じきにわかるでしょう。連れ去った数人は主事と違って普通の人間ですから。」
 
「わかり次第、報告しろ。」


 時を遡ること、86年、1930年のドイツヒトラーが台頭する時代、
前世のショウやミヨ他数百人の血熱き男女が、ある崇高な意志を持ったナザレという結社に深く関わっていた。

ナザレとはイエス、キリストの出身地と言われる地名で、この結社を創始した主事が名づけた。彼は若き日にナザレの地に存在した秘教を伝える修道場で意識と身体の昇華に尽力し、キリストの能力にもっとも肉薄したした男だ。

 混乱するドイツの時代にあって、彼は彼の本国、ドイツに帰国後、量子に関する研究に没頭しオーラをある法則にしたがって回転させ時空を飛翔する技術をその時代に既に完成しつつあった。
 
その技術をめぐり多くの夢多き若者が、この結社ナザレにイニシエートを求め参入し、その知性と能力を磨いていた。ブライアンはその中の一人で、数学と弁論に関しては天才的な能力を持ち合わせていた。

 彼はイニシエート、つまり構成員として認められる2年ほどの間、誰しもの目にも素直で凡庸な人間に見えたが、構成員として知識が与えられると、数年で量子場の法則とその技術の大半を数学やで電磁気学を通して極め、少しずつ結社の構成員を子分のように掌握し、主事を批判するようにもなっていた。

 性格は冷たく鋭い。その性格が当時のヒトラーに影響されたのか、もともとそうだったのか不明だが、徐々に仲間うちにだけに、残忍さとカリスマ性を顕すようになっていた。
 
しかし彼は政治家のように表舞台に出ようとはせずに、常に手足になる有能な取り巻きを通して厳しく、緻密な謀略を実行した。

そのため彼の取り巻き以外の構成員は彼のカリスマ性や知能の高い残忍さに、長い間気がつかなかった。
 
その天才的な能力をもって、ヒトラーのような、全世界掌握に向かって彼なりに動き出した。そのような大それた事を思い、決断するのに決定的なきっかけがいくつかあった。
 
彼にも恋心があり、特別に女性からモテてもいたが、いつも相手に飽きてしまう。逆に相手に飽きられていることはないが、嫌われる事は多々あった。嫌われる事に気がついてはいたが、いつもそのような人間は低脳なやつらだとその何倍も心の奥底で嫌った。
 
周りから見ても当然でもあるようなハンサムな顔やルックス、知力や話術などには並外れたものがあり、狙った獲物としての女を手に入れるのは容易だったせいなのか、もともとの性質なのか自分の人生で、反省するような心は微塵もない。
 
その頃、ブライアンは前世のミヨを見て、今まで付き合ったことのない、理知的で美的なタイプで、自分にとって理想的な女性である事を勝手に確信し、何度となくラブコールした。
だが、彼女はまったく興味を示さない。仲間を使って自分自身をヒーロのように演出したり、恋敵であるショウをこき落としたりしたが、彼女はブライアンに心が動く事はまったくなかった。

 その憤りは非常に大きなもので、激しい嫉妬を持って、ショウとの関係を壊そうと徐々に彼なりの謀略が深まっていた。同時に主事に対するクーデター計画が進行し、多くの構成員がブライアンの手に落ちつつあった。