白雲の道治療院

白雲の道治療院は、鍼灸術と量子場調整を用いて心身の健康面の向上、さまざまな症状や機能の向上、能力の増大に努めております。

白雲の道で美しく健康な体を!

CODE 026 2012-08-28 205213

No.026 - 第三章 展開 8

一線

 銀座のアジトに帰り、二人で今回のサヨ子の身の廻りに起こった状況を調べていた。
少量の水を介して錯乱した場が、抹殺者へどのように与えられたかのか、またその抹殺の経過を敵はどのように把握しているのか。
抹殺者が今までのように個別のものであるなら、私達への追っ手はそれほど警戒しなくていいはずなのだが、今回は、そのあとにすぐ、数人の殺し屋達が私達を追って来た。

 今回の追っ手がどの範囲のものであるのか。以前は抹殺者と殺し屋集団との間にはつながりはなかった。もし、このつながりが宇宙衛星とつながり、管理体制を発展させているのなら私達にとっての予想を超えた危険が迫っている。

 ミヨは追跡者たち3人の過去現在を内側の視点から綿密に調べた。その状況を私の内側の視野にも映し出し、その状況から現在、私達にどんな危機が近づいているか類推していた。

徐々に状況がつかめて来た。
抹殺管理システムと殺し屋集団を結びつける、中間的な役割をしている部署がある。これは、どちらかというと殺し屋集団に近い。しかし殺し屋集団のように、実効的な行動に出るより、拉致しての調査が主な仕事のようだ。その中心は東京の羽田近くにある。


 感情の激高によってチップが作動し、意図せず無意識的に抹殺者になってしまった一般人に対し、まるで感情のない彼らが抹殺の完了を見極める。もし、それが不完全であるなら何が原因しているのかを感情を交えないで推理調査し平気で暴力的な行動にも出る。
 
 そのような仕組みを敵は既にチップを介して管理体制の中に狡猾に組み込んだようだ。

 サヨ子のマンションからの帰り追っ手を巻いた後、彼女達の安否を心配していたが、敵の進展状態を知った今、彼女達に危険が迫っている可能性が大きい。

 愛ちゃんにケイタイ連絡を取り、その安否を確認してみた。幸いまだ3人はサヨ子のマンションで一緒にいた。

 「サヨ子の様子はどう?」
 
 「とても元気になりました。ご主人が帰ってきて手料理いただいています」

 「そうか。それは良かった。出来れば今夜はサヨ子のマンションに泊めてもら
うといいな」

 「えっ、どうしてですか?」

 「ん。ちょっとした危険が私達に迫っているかもしれないんだ。だから今晩は
外出しないで戸締りをしっかりして休んでもらいたい。明日の朝八時に向かいに
行くから、それまでは外に出ないで待っていてくれ」

 「そうですか。わかりました。今、サヨ子に頼んでみます。。。。。。」

 「先生、OKです!ご主人も快く承諾してくれました」

 「では、8時に迎えに行くよ。誰が来ても開けちゃッだめだよ」


 「はい、わかりました。子供みたいですね。」

 本当は今すぐ迎えに行って彼女達を私達のアジトに連れて来たかった。しかし夜中の動きは危険を荒立てる可能性がある。明日の朝なら、敵につけられたとしても朝の車の多い中では、巻くことが出来る。万が一騒動になったとしても朝の人目の中で公然とした暴力は彼らも好まないだろう。そのように思っての事だったが、誤算だった。

 不安な一晩を過ごし、約束の時間よりも早く、迎えに行った。
 しかし、着いてみるとドアが壊されてこじ開けられ、部屋の中は格闘でもしたかのように乱雑に散らかっていて、サヨ子の夫が血だらけになって倒れている。
彼は侵入者に彼女達を守ろうと戦ったのだろう。顔や身体に殴られた後があり、最後にナイフで首を切られ出血多量で亡くなっている。身体の温もりは無くなっているが、死後数時間は経っていると思われた。

 心臓が興奮してドキドキしながら、どうしようかと、思い巡らているところに、突然ケイタイの着信音が鳴った。

 着信は愛ちゃんになっている。「もしもし、今どこ?」
 答えは心臓が凍りつくかと思ったほど冷たい声で「羽田のJALビルの前に今すぐ来い。もし一時間以内に来なければ、お前の友達は辛い目に遭うぞ。」

 「。。。何を企んでいるんだ。バカヤロー、彼女がどうしたんだ。」


 彼女達が拉致された事を知っているような言葉は使わなかった。


 「安心しろ、友達3人を保護しているだけだ。ビルの前に来たら右手を高く上
げろ。わかったな!一時間以内だ。」

 

 敵は私のケイタイの番号を昨晩の愛ちゃんのケイタイ履歴から知ったのだろう。

 私のケイタイの番号は偽名とその口座を使っているから私の素性は簡単にはわからないはずだが、もしこの番号が彼らに技術ジャックされているならミヨにも危険が迫る。そう思ってケイタイを壊して捨て、公衆電話を使って連絡した。

 「もしもし」

 「はい、どんな様子ですか」

「ミヨ、ちょっとまずい事になったんだ。彼女達3人とも拉致され、今しがた愛ちゃんのケイタイから奴らの電話があって、羽田のJALビルに来いと言われた。これから行くけ、やつらは何を企んでいるか調べてくれないか」


「。。。彼らは探っているのね。サヨ子が意識を取り戻したその能力がサヨ子自身の力なのか、それとも未知の能力者の力なのか。ご主人を脅してショウが来て症状が好転した事
を知ったようね。。。。。。。彼らはショウが何者なのか知りたがっています」

 「そうか、サヨ子のご主人は首を切られて殺されていた。私達にとってとても危険な状態だな」

 「。。。結社の主事にこの情報を伝えておきます。出来るだけ時間を延ばしてくださいね。」

 「わかった。ミヨ、ケイタイは壊して捨てたので、連絡はこちらから公衆電話を使ってするよ」
 
 「ショウ、私はショウにどんな事があっても、一緒にいることを忘れないでください」

 「わかってるよ。」