白雲の道治療院

白雲の道治療院は、鍼灸術と量子場調整を用いて心身の健康面の向上、さまざまな症状や機能の向上、能力の増大に努めております。

白雲の道で美しく健康な体を!

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No.016 - 第二章 結界 3

直観力の息吹

 彼らの埋め込みチップは全世界の大多数の人が、その便利さを享受していた。
しかし、その裏に大変な仕組みが設置されている事を世界の何十億のという人達
がそれを認識できない。そのように仕組まれていた。
 
そのことを知って管理システムを企てた彼らは嘘をついた。そのチップには個人認識と銀行口座の認識番号以外の情報はないと確約していたが、一度埋め込んで、隠れたプログラムが稼動すると疑いの心が働かなくなるのだから平気で嘘をついたのだ。

 幸い日本は世界で一番チップ埋め込み率が低く、全体の半分ほどでその難を逃れていた。破綻が最初に起こった国の人達は大変な食糧難や住居などの状況に数年の間悩まされていたので飛びつくように、チップ埋め込みを希望したが、日本は世界で最も後まで経済的にがんばったこともあり、その支配的な策力から少しだけ離れていることができた。もう一つの理由は身体の中にICチップを埋め込むのに躊躇する国民性があったからだろう。

 しかし、それでも、日本の状況は昨年の9月11日から一変してしまった。

 チップを埋め込んでいる多くの人達が、この日を境に微妙な頭痛と微熱を感じていたが、ひょっとしたらこのチップのせいかなと思う人は不思議にもほとんどいなく、これは全世界的な現象だったのだが、報道される事もなく、時が過ぎ去ってい
る。
疑いが起きるとすぐにそのチップの働きで脳の前頭葉に量子の雲が発生し、考えられなくなってしまうのだから無理もない。まだチップを脳に埋め込んでいない人達のなかで、チップの隠された働きに感ずいていそうな人、そのような事を言いふらしている人などは微妙な方法で片っ端から消されている現実があるのだが、その事にも誰も気がつかない。

 微妙に頭痛や熱が出るが、その疑いを忘れるとすぐに治まる。しかしこの裏に隠されたプログラムが稼動し始めた日を境に少なからずの人達が脳に障害をつくり、あるものたちは脳の梗塞や出血でこの世を去っていったものも多い。このような人達は根っからの反逆児であり、支配を嫌った私たちから観ると愛すべき人達であった。

 チップを埋め込んだ人達は私の施術所にはほとんど来なくなったが、まれに私のところに治療にやってくる事がある。彼らはチップで清算をしようとするし何にもましてかれらは権威のある医療用団体やその系列はすばらしいとあらゆる媒体で宣伝されているので、私のようなところには来ない。しかし、頭が割れそうに痛み、保険が利く病院に行っても何も変わらない状況の場合にのみ、泣く泣くやってくる。

 そのような人のチップが埋め込まれた前頭葉周辺の量子場を調べてみると、不自然な雲のような場が出来ている。そんな彼らの思考傾向は決まって反逆的な人達だった。

 その場をクリアーにする事は今の私には出来る。しかしそれを行うと敵に見つかってしまう。彼らは非常に高度の監視プログラムをそのチップに設定してある。
 そのような場合、今のところ私達に為す術がなく普通の整体で終わらせるしか手立てがない。そのような人たちはは少しずつ反逆精神を無意識に手放して行く事でその頭痛が沈静して行くだろう。私達は彼らのような反逆者精神を持ち合わせている人が好きだったので、とても悔しい思いで見守っていた。

 もし、チップを摘出すべきだと言ったら、その気になった人は、その瞬間に脳がそのチップによって梗塞されてしまう。それだけではなく、そのチッププログラムは誰にそのように言われたかを特定できる監視システム能力を持ち合わせている事が私達には既に知られていたから、更に問題は複雑だ。


 私はミヨと一緒に東京銀座にあるアジトを中心に、激変する社会情勢を尻目に自身の能力をひたすら磨いていたが、このチップには十分過ぎるほどの注意を払っている必要があった。まだ私達の及ばないプログラムが設定されている可能性があるからだ。

 ミヨは多くの点で私よりもこの点に関して勝っていて、この監視網から見えないバリ
アーである結界を私達の行動範囲に広げ、逆に彼らの監視網がどんな能力があるかも調べその準備も怠らなかった。

 たとえば、彼女は世界の集合的な意識状態を身体に映し出し、敵の状況や計画を調べ、これから結成する結社の準備を管理システムの網の目を潜りながら進めていた。
この次元に転生した仲間の位置を把握し、結界を構築し彼らをも守っている。 


 日本全国的にはチップの稼動でチップ清算をしていないところは客足が激減していたが、場所が銀座のど真ん中とあって昔ながらの現金払いの粋な風潮を愛する人達が多い。
 
そのような理由もあって銀座はチップ清算お断りの店が逆に人気店になっている事もあり、そのことが幸運にも私達の仕事を敵から目立たないものにしていた。

 私達の場合、経営面は最初から問題にした事はなく、施術は美容整体と言っていたが、本当の所、量子レベルでの技術を使っていたので、感性の高いの女性に根強い人気があり、それ程の変化はなかった。

 前頭部の埋め込みチップの危険性を、このチップが紹介された3、4年前から受けるべきではない事を暗にほのめかしているせいもあり、彼女達の多くがチップを埋め込んでいない。
 女性はどこの国でも基本的に便利さの論理よりも生身の人生を味わいたい。そのことに支配体制側はジレンマを感じていたのに違いない。

 チップ設置の比率はどこでも女性のほうが低く、ここ東京では合理的な女性はいち早くこの誘いに乗ったが、美や自身の能力、実質的な幸せを求める、一般的には変わった人と言われがちな人達は、チップの便利さには走らなかったのだ。

 彼女達は男性達よりも直感的だった。この5、6年の間に私達施術側も進化したが、施術を受ける人たちも体の変化だけではなく、直観能力もすばらしく進化したことも驚きの一つで、あたかも潜在している直観力が芽を吹き出したように成長を始めている感がある。


 この事は、仕事を終えた隠し部屋で二人、何度も乾杯して喜んだ。少しずつ直観と言うあるフィーリングを共にする仲間が増えるというのは心の中から、うれしいことだ。しかし、その直観の力を恐れている支配者側が、いずれ私達に気がつき、魔女狩りのごとく襲いかかるだろう。その時に彼らをどのように守る事が出来るのだろうか。