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No.015 - 第二章 結界 2
真の敵
その時の人間の管理された状況を、この様に例えた。
30頭ほどの羊を育てる羊飼い、彼らは羊たちにとっても安全と食欲を満たす牧草を見つけてくれる神の様な存在であり、人間社会の中では、善良な人たちだ。
しかし、月に一度ぐらいの間隔で仲間一頭づつ、どこかにつれて行かれ帰ってこないのは、どこに行ってしまったのか。羊たちは、ボンヤリと考えていた。
その中の、ある変わり者が奴は人間どもに殺されて食べられたのだと、皆に言いふらしてた。
この中のほとんどの羊は
「そんな事を、あの人間様はするはずがない。私たちを心底かわいがってくれるあの青年や子供たち、彼らが私たちの仲間を食べている?そんな事は絶対無い」と言い張った。
しかし、その変わり者と烙印を押された羊は自分は、「人間が仲間を殺すシーンも、皮をはぎ内臓を取り出し、肉を切り取り鍋で煮てうまそうに食べていたのを見ていたんだ」と大きな声で叫びまわった。
その羊が人間と真正面で出会ったとき、その目は恨みでいっぱいだった。そんな羊をみた人間は、何気なく、次の鍋にする羊はこいつにしようと決めた。
「彼等人間の気持ちもわかるし、羊の気持ちも全体のなかの関係性も痛いほど理解できる。この関係を彼等恐怖や不安を演出し人類を支配しようと企てている連中に例えると、どんな問題になるだろう」
「私達、人間は確かに羊や鶏、家畜といった動物に都合のいい管理体制を敷き、その恩恵を受けているが、逆に彼らの生活を保護もしている。ここで、この羊の群れの例えが、羊ではなく人間だとする。羊と人間が、同じ土俵の中に入れるわけにも行かないが、どんなものだろう。」
「羊に対して人間は好きな事を行っているが、人間に対してこのような事をしていけないと言えるのか。人間は一日何も不安もなく、食べられて幸せに生きたいのだろう。羊と同じだ。そのように私達が保護してやろう。」
これは彼等、嘘をでっち上げ陰謀を隠した中で、管理システムと支配体制を完成させようとしている連中の言い分でもある。
ミヨは言った
「確かに人間のエゴは動物という劣った種に対してこのような不信なことをしています。これはいつか人間の側から止めなければいけないと私は思います。羊や動物はその反逆を起こすだけの能力はないのですから」
私は言った「彼らの肩を持つわけではないけれど、人間も動物が反逆できないように策略している」
「その通りだと私も思います。彼らの人類を完全支配に置こうとする陰謀も、これからもっと人間が反逆できないように策略をめぐらすでしょう。彼らが自ずと支配を手放す事は考えられませんが、しかし手放す可能性としてゼロではありません。
人間のエゴは彼等のように全人類の支配を企んでいる人達だけではなく、私達のこころの中にもあります。私たちの戦いは彼らの非を改めようとしたり、やっつける事ではなく、私達自身の神にも似た創造性を自ずと取り戻そうとしている戦いです。その事が彼等支配する事を第一にしている連中の支配を打ち破る方法なのだと思います。
しかし時間が余りありません。人が集団的に創造力を失うと永遠に人間を人間たらしめている力を失います」
前世において私達が秘密結社の一員として修行していたとき、目的は自身の創造能力の向上にありました。
当時から人間の支配欲についてはよく言及されていて、「いづれ支配欲の権化のような人間達がこの世界全体を支配する。その時私達は自らを支配され得ない力を世界に示し、その力を人類にもたらそう」それが私達の結社の意図だったのですが、その中の不良分子も始めの頃、同じ同志として修行していました。
その当時も闘争が日常茶飯事のように白昼の中で起きていましたが、彼ら不良分子の計画はそれらと違って非常に念の入ったものになりました。
彼らは単に支配欲にから自分達の欲求を満たそうとしたのではなく、社会の影から結社の知恵を悪用し周到に計画したのです。そのために彼らの最大の邪魔者は今も知識を共にした結社なのです。
私達の結社は表向き解散消滅しましたが、本当は数百人いた修行者の中の45人は霊的にも高いレベルに達していて死を超えてこの世界にジャンプしたのです。
私もその一員でみんな真実の中で去って逝ったショウを深く信頼していましたので、ショウが転生したこの時空に前世の記憶と能力を持って生まれようと決めたのです。いずれ結社を再結成しますので、またみんな再会する事にになります。
彼ら不良分子から私達を見ると邪魔者に映るのですが、私達の敵は世界支配を企んでいる者たちではありません。私達は進化したと言ってもまだ覚醒したものではありません。まだ自身の真の能力の欠如、無知を取り除く仕事があります。
「しかし、私たちや同じ意図を持って生きている人たちが全員抹殺されてしまうと、この地上での創造者としての人間は支配者を除いて終わりになります」
いつも、このような話はここに帰着していた。
私たちは彼等管理システムを支配するものたちと戦うつもりはない。彼らは私たちのような人間の意識が持っている本質的な力を恐れて、私たちを抹殺しようとしているが、私たちの真の敵は彼らではないのだ。
前世の私の能動的な性格が同じ過ちを犯さないためにか、ミヨは何度も重ねてこの事を私に話した。
真の敵は自分だけの安楽や自身の依存傾向をもった怠慢さと自身の莫大な能力への無知にあり、私達の意図は人の尊厳を顕に示し、すばらしい神や女神にも似た能力を開花する事です。つまり最も力強い味方は自身の中にいます。
私たちが言うところの現実的な敵は確かに彼等にありますが、彼らがわたしたちのアジトを襲い、私たちに肉体の死がやってくるなら私たちの完全な敗北になるのだからその通りです。しかし、それは私たちにとって真の敗北ではありません。また違う時間軸で自身に向き合えば良いのですから。
しかし、今の今そのような事は言ってられません。現在というこの時間軸は多くの時間が交差し、何千年も待った、たくさんの輝かしい人間の潜在している能力が開くそのショウが始まろうとしているのですから。
ミヨからこのような話を聞き、社会が加速度的に変化するのを観察しながら私のこころの中の何かが燃えあがってくるのを感じていた。