白雲の道治療院

白雲の道治療院は、鍼灸術と量子場調整を用いて心身の健康面の向上、さまざまな症状や機能の向上、能力の増大に努めております。

白雲の道で美しく健康な体を!

CODE 072 2012-11-06 130556

No.072 - 第八章 謀略 1

東京へ

 トロンが東京でショウの仲間たちに受け入れられ、トロン自身も量子的な意識の進化を目指してがんばっていた。それを、スイスの居城で多くの科学者たちが同時進行で分析している。
 
その事を、トロンはまったく気がつかなかったが、ミヨとショウはそれを知り、彼にその事を告げるかどうか、二人で話し合っていた。
 もし、彼がその事を知ると、振る舞いの不自然さがスイス本部とトロントの間に亀裂を生じる可能性がある事と、彼自身の修行の邪魔になることを憂慮し少しの間伏せることにした。
 
しかし、だからと言って彼に技術的な開示に限界を設けることはしないと決めた。ス
イス本部の技術者たちが、人間のオーラの技術を分析して、技術的な進化をもたらすことで、発生するナザレ側のリスクがあるが、あえて二人はそのリスクを冒そうとした。
  
この技術は基本的に、個人的な体験によるものなので自分自身に正直な心と感情を制する意思がないと理解されないこと、またこの能力はまっすぐな意思なしで働かないことなどの点から、彼らに知れてもそれほどの問題はないとも考えてのことだ。

しかし、スイスの科学者達が、 この技術そのものを 物理的に置き換え、アザミのように新しい電磁気的な進化した装置を創り出す可能性は残っており、自分たちの脅威になることが十分に考えられる。
 
その状況で二人はそのリスクがあっても、トロンのような善良な精神を持った科学者たちがいることを想定し、彼らにこの技術が伝わることを願って、トロンにこの技術を教えようということになった。

 その事は、主事からの趣旨とも合致した。

 そのころ、恵比寿のスポーツクラブに入会し遠巻きに監視している創造の戦士たちの数人が、トロンやショウに近づきナザレの情報を収集するようになっていて、そのリーダであるシュタインはその情報を集めて本部に送った。
 
その概要は、ナザレのメンバーにどのような人物がいるか、その住居や経歴、癖や周りの人間関係など、かなりの情報がそろってきていた。またトロンが始めた修行の内容をシュタインにはよくわからない修行だが、その概要もよくまとめてある。

 しかし、本部では、創造の戦士達の胸の中にセットされている高度の盗聴装置を介してその報告よりも多くの情報を集めていた。

 ブライアンはこの実情から創造の戦士全員にこの修行を体験するように、シュタインに指示した。
 


 
スイス地下で、トロンの身体の変化や視点を疑似体験しながら見つめ、自分の中の何かが大きく変化してゆくのを感じていたミーナはブライアンがもう少し待てと言うのを押し切って一人、東京に行くその機会をうかがっていた。

その矢先、ミーナはこのような創造の戦士の指令を横で聞いて思わず、ブライアンにねだった。
 
「お願いがあるの、ブライアン」
 
「なんだい」
 
「東京に行って私もあの体験をしてみたい」
 
「それは、だめだよ。今東京は大事なところだし、複雑な問題が絡んでいる」

「 その複雑な問題に興味があるのよ。創造の戦士達も大勢いるし危険な状況になれば、すぐに帰ってきます」
 
「いや、だめだ、、、、その理由を話してあげよう。いいかい...まだ誰にも話していないのだけど、ちょっとした人間性の存在に関する計画が進んでいるんだよ」
 
「どういう事」
 「親の遺伝子は子供の代に伝わるのを知っているね。その人の人生では遺伝子は変化しないが、子供の代に変化する。
 ここで、もしわれわれのチップ支配がある程度の期間続くと、彼らの子供の時代にはチップ支配が必要なくなる。
 チップが世界中に普及したのが、2012年だから2019年の今、もう少しするとチップの干渉なくして、人は生まれながらにして激情やサディスティックないじめの遺伝子を持たない人類になる。それはすばらしいことだ」
 
「それが、どうして東京と関係があるの?」
 
「現在、東京で不穏な動きがあって、その調査をしているところだ。もし彼らがこの支配に従わないのなら、強制的な手段が必要になる。彼らの能力が人間の限界をどの程度超えているか不明なところがあるから、こちらも躊躇してるけど、最近、彼らのほうの変化が加速している。だからすぐに東京は危険な状況になる。それは私達にとっても同じなんだよ」
 
「どうして人間の能力限界を超えると私達に危険なの?」
 
「それは先ほど話した、こちら側の計画が破られる可能性があるからだ。ちょっと前に私達のクルーザーの乗組員50名ほどが一人の女性によって全員あの世に送られた事件を知っているかい」
 
「知ってるわ、数学者の女性を拘束したときに起きた事件ね。」
 
「あの女性はわれわれにとって危険な人間であることは間違いないが、もっと危険な仲間がいる。そのような人間をわれわれは放任できない」
 
「それはトロンが今、トライしている量子場の技術と関係あるのじゃない?」
 
「そうかもしれないけど、その事に関してはまだわからない」
 
「私、そのあたりを東京に行って調べるわ。トロンは今その技術を夢中になって練習しているのが、疑似体験でわかるの。私もあの仲間入れてもらって練習してみます。そして報告します」
 
「。。。。ミーナやはり今の状況では難しいよ。今彼らに対して破壊活動を行わなければいけない状況にある。そのトバッチリを受けて君の身に危険が及ぶかもしれない」
 
「でも、どうして?そんなに彼らが危険とは思えないわ」
 
「最初に話したように、人間の能力を超える事は反逆の可能性を生む事になるし、チップによる脳支配に難しい問題が生じる事になるんだよ。それにすでに我々に被害が生じている」
 

「チップの成功はすばらしいと私も思うけど、その人間の能力の限界を超える事もすばらしいことじゃないのかしら」
 
「そうとも言えるが、おそらく共存は難しい。」
 
「では、私が身をもって、その是非を調べてみます。それまで破壊工作は待ってもらうわ。ならいいでしょう。」
 
「困ったな、ミーナ。」

 「、、、私は貴方の役に立ちたいのよ...あなたの人形のような存在はいやです!」
 
ミーナは大粒の涙を流し、今にもそこから地上の世界に飛び出してゆくような形相をしている。
 
最近、彼女が地上に夜遅くまでうろついている事に不安を感じているブライアンがいた。

「、、、、、、、」

「、、、わかった。私も近いうちに東京に行こう。デイモンの奥さんと一緒に出発してくれ」
 
ブライアンの緻密な計算に初めて、感情的な未知数が入った。今まで感情を計算の中に入れた決断はしたことがなかったが、ミーナの最近の鬼気迫る感情にしぶしぶ了承した。
 
彼の計算はいつも真っ向から戦う敵ではなく、常に獲物と考えている相手方に対して策略をめぐらし、保有している知識や技術を根こそぎ奪い、最終的にはそのことに纏わる者たちを一掃する。その後も表舞台に決して出なかった。

 しかし、ミーナの執拗な思いに今まで行動したことがない、人間ドラマの中にブライアン自身が入ろうとしている。

ここにもう一つの未知数がある。それは、ミーナの目覚めつつある遺伝子だ。