白雲の道治療院

白雲の道治療院は、鍼灸術と量子場調整を用いて心身の健康面の向上、さまざまな症状や機能の向上、能力の増大に努めております。

白雲の道で美しく健康な体を!

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No.075 - 第八章 謀略 4

ミーナの心の準備

 ミーナは東京に向かうジェットの中にいた。彼女は世界中の都市に配備した瞬間移動装置で東京に瞬時に移動することもできたのだが、地球を身体で感じ取るために、また心の準備をするためにもスイスから専用の高性能ジェットを選んだ。

 付き添いのガードは数人いるがブライアンから離れての一人旅行は始めての事で、冒険心でいっぱいでうきうきしている。
 
時どき、パイロットにちょっとしたわがままを言って成層圏を超え宇宙空間まで上昇し、また超高度で旋回したり、低空飛行して出来るだけ地球全体を地球の大きさやその
美しさを観ていた。

 これから自分と同じ遺伝子を持ったミヨやゆかりの深いショウに会う事を考えると、受け入れてもらえるかどうか、一抹の不安はあったがワクワクとした冒険心で心臓の音が高まるのを感じる。


 その情景は前に幽体離脱した時に観た地球とほとんど同じ様に輝いていた。地下40メートルの地下都市に生まれ、クローンとして生まれブライアンに育てられたミーナにはこの眼前に広がるパノラマは美と愛そのもののように見えた。

 その時、ブライアンから電話が入った。
 
「もしもし、元気かい。いまどの辺だい」
 
「今北極から真南に東京に向かっている最中よ。気分は最高にいいわ」
 
「それはよかった。何か不自由なものはないかい」
 
「今のところ不安になるような事はなにもないわ」
 
「ん、東京に着いたら銀座に近い日比谷の高層マンションを手配してあるからまずそこで少し落ち着いてくれ。」
 
「ええ、一人で少しぶらつくつもり。危険はないと思うから護衛もいらないわよ」
 
「そのつもりだけど、数日は我慢してほしい。少しの間東京に慣れるまでガイドも用意してあるから利用してほしい」
 
「、、、わかったわ」
 
「いま、ちょっとした安全確認のための試験をしてみたいのだけど大丈夫かい」
 
「あの例の遠隔保護システムの事ね。いいわよ、、、」そう言ってミーナはネックレスにルビーのように赤く輝いているペンダントを握りしめた。
 
「、、、完ぺきに作動しているようだ。このネックレスはいつも身につけて居てほしい。 それは君を守る強力な武器なのだから」
 
「えっ、武器なの!この前、これは盗聴装置ではなく、私がどのような状況にあるか教えるだけの装置だといっていたわよね」
 
「、、、ミーナ、それは確かに位置確認だけの装置だよ、でもこちらから見てそれ以上の事を行えるようにセットしてあるんだよ」
 
「どのような事?詳しく教えて。あの時どんな事があっても私の自由とプライバシーを守ると誓ってくれたわね」
 
「わかった。そんなに興奮しないでくれ。それはね、もし君の救助を求める意志によってこの装置がオンになると、始めて本部からの状況を把握する装置が起動する。」

 
 「そう。すごいわね。ではもし、私が間違ってこれから出会う人の前でこのペンダントがオンになった場合、みんな筒抜けね。」
 
「そうだけど、プライバシーは守るよ」
 
 「そう、わかったわ。出来るだけ使わないようにするつもり、私の心配は護衛や管理でプライバシーがなくなる事だけよ」
 
「わかっているよ。その事だけは絶対に守る。この装置は私が地上世界にいる時のために開発したもので、まだ一度も稼働した事がないものだ。だから安心してくれ」
 
「ありがとう、あなたの愛はいつも感じているわよ......いま大気圏外から地球を観てるのよ、北極方向から見るとが太陽の光が地球の東の方から金色に輝くのが見えるわ。とても壮麗な感じ。一緒に観たかったわね」
 「ん、、、くれぐれも気をつけてくれよミーナ。じき会おう」

 2019年、この時代、一般科学技術は2012年以後ほとんど進化していない。しかしブライアン率いる科学力は量子技術を一人占めにし飛行機の技術も飛躍的に進化していた。

最新鋭のジェットは大気圏外に出ることも可能で、逆に宇宙空間から、垂直に地上に突進することもできるほど進化している。
 
パイロットはミーナに許可を得たのち、その大気圏外の宇宙空間からから進路をまっすぐ東京に向け、急降下を始めた。その重力的な変化は、ミーナの意識をさらに自由にし、意図せず幽体の一部が離脱して浮き上がり飛行機の中の身体と地球の3つが整合した。

 聖霊でもある幽体と肉体、その二つを包む地球が同時に整合するのは宇宙空間の中で起こる大いなる可能性だ。ミーナはこの事を知らずしてその意識領域に入った。

 彼女は、その中でクローン技術で生まれた自分が、子供のころから探し求めてきた親の絆としてのある理解と自分なりの折り合いが自然とわき上がった。
 
「人はクローン人間であれ孤児であれ地球の大いなる愛に包まれている。この空間から見ると、それだけでただ素晴らしいことだ。そのことを肉体の眼と聖霊からの眼、そしてこの地球のオーラの領域が同じように物語っている」
 
彼女はこの数分の間に、この地球の愛のために命を賭けてもいいと思い、これから出会う人たちすべての人たちのために生きようとかたく誓った。
 
下界には日本列島が太平洋に向かって咆える龍神のようにくっきりとその姿を現わし、 その様子を観ているうちに、ミーナは遠い過去にこのようなシーンを観たように感じた。
それが何かはわからなかったが、心の片隅に自分はクローン上の記憶だけではない記憶がある。自分はだれかという子供のころからの本質的な疑問、その答えがかすかに見た気がしていた。