白雲の道治療院

白雲の道治療院は、鍼灸術と量子場調整を用いて心身の健康面の向上、さまざまな症状や機能の向上、能力の増大に努めております。

白雲の道で美しく健康な体を!

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No.079 - 第八章 謀略 8

クリアーな認識

 ナザレの主事からもミヨを通して50人ほどのメンバー全員に恵比須のスポーツクラブに加入するよう指示が出され、みんなスカッシュやジムで身体を整えながら、すでに始まっている心理戦の中で、これから起こるだろう本戦の戦いに備えていた。
 
創造の戦士達も本部からの擬似体験装置によって盗聴されているとは知らされない中で、全員にナザレとその修業を身をもって体験するように指示されていたので、このスポーツクラブはちょっとしたスパイ合戦社交場の様にも見えた。
 
男性と女性の比率はナザレのメンバーの三分の二は女性であり,ブライアン側は反対の三分のニは男性、年令は全員30代の後半なのだから出会いが起きないはずはない。

 しかし、両者の過去には大きなギャップがあった.

 ナザレの全員はドイツからの転生を自ずと超えて来たもの達で、その過去では初期のブライアン結社が何をして来たか、昨日の様に明確に憶えている。その事はトラウマのように心に覆いかぶさっているものも多く、ブライアン結社に属する創造の戦士達が敬意を表わし近づいて来ても憤りを感じずに入られない。

 創造の戦士達は、その事を全く知らない。彼らは幼い頃から訓練に次ぐ訓練の毎日であり、自分の身体と心を律して来た。トロンを除くほとんどは現在のチップによる人間支配には何の疑いも感じず、そうあるべきと思っている。
 
そのような異なる信条を持った彼らが、量子場の技術を介して接近していた。
 
ナザレは現状の世界支配体制から観ると、テロのように見られる存在であるが、彼らは現状の支配体制にそれ程興味は無い。

意識の世界である量子世界にもっと大きな世界を観ているからだ。だから彼ら自身、自分達が現在社会の中でテロリスト的な存在であるというのは理解できるが,その様な意思は無いし、それは支配側の勝手だと思っている。
 
創造の戦士達の世界から観ると、自分達は支配者側であるが、ナザレの技術に対してはスパイ工作のようなところがある。しかしトロンを介してナザレはその技術を自分達に明かしても良いと意向しているらしい知った。

そのために探索と言う本領が発揮されず、どんな態度でナザレに近づくべきか躊躇している彼らがいる。
 

創造の戦士達は、スパイ工作や情報収集には巧みなところがあるが,精神修業となるとみんな途方にくれてしまうのだ。
 
その中で数学や量子力学、心理学や哲学に秀でた数人の「創造の戦士」グループがあり,彼らはトロンや、ナザレのメンバーに積極的に近づいていた。その中のリーダーのリーラ、彼女はトロンに話しかける機会を以前から伺っていた。

 その機会をナザレの修業体験を戦士達に説明した後に見い出し話しかけた。
 
「トロンさん、ちょっとお話したいのですが、良いですか」
 
「いいですよ。何なりと」

 「率直に言って、わたしたちのグループに是非入って頂きたいのです。私たちはナザレの技術は人間の自由や解放につながるものの様に思います。そのため協力して頂き学術的にも探求したいのです」
 
「ありがたいが、いま個人的に忙しい」

 「それは、承知していますが、私たちにはあなたの様なリーダが必要なのです。また私たちは全面的に貴方に協力します」

 「私をリーダーにしたいと思っているのか。リーダーならシュタインがいるだろう」
 
「確かに我々の統括的なリーダーはシュタインです。しかし学術的に研究している私たちの小さなグループには貴方の様な人を必要としているのです」
 
「残念ながら、今の私は学術的な探求には興味が無い。それにその探求に意味が無いと感じているぐらいだ。だとしたらみんなの指導者にはなれないだろう。」
 
「そこなんです。私たちは現状の論理的な探求が不可能という結論を出しました。この壁を超えるためにナザレは努力はしていると感じていますが、これは人間自身の自由の道を開くと思います。」
 
「だったら、ただ修行をすれば良いだろう」
 
「その通りなのですが、その修業を論理や数学的手段、哲学を通した中でも進めたいのです。そためのリーダなのです。もし、その事が出来るなら今の量子チップによる人間支配を解放する事ができます」
 

「なに!」

トロンはその言葉に反応したがとっさに押し殺した。もし、その内容が本部に知られると反逆分子として消される可能性がある。どこからかわからないが、監視されていることを察知している自分にとって、また彼等にとってもこれ以上を会話を続けさせる事は出来なかった。
 
「なるほど。わかった考えておく」

 性急にリーラとの話を終えたが、トロンは嬉しかった。リーラの話している目に真実がある事は不思議にわかっていた。そのような仲間がいた事に心の中では狂喜する程嬉しい思いが押し寄せた。

 長い間一緒に暮らした仲間を信じた事は一度もない。しかし、どうしたものか彼女の真実が見える。今までに体験した事のないクリアーな認識。ユキ子の言っていたように、自分の中の何かが変化しているのかもしれないと思った。それがまた拍車をかける様にうれしかった。

 すこしずつ社会がわかってくると、世の中が面白くなるものだが、トロンも場合、自分自身の量子の場を観る力がクリアーになってきているのを感じていた。