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No.045 - 第五章 対峙 2
結社ナザレの再結成
熱い意志があるなら、陰陽の莫大なエネルギーと明確な量子の次元認識を整合し、その身体を悲惨な状況から引き戻す事ができる。だがそこに、この二つの世界の比率が不可欠だった。
結社のメンバーが離脱しているショウを銀座のアジトに運んでいる間に、ショウの身体は回復していた。
通常、意志を他人の量子場に働きかける場合、量子の双子の性質によって等分な力が、自分自身にも働く。
相手の症状や、病気を治そうとするために使うなら、相手の症状を軽減した時点で、自分の中の同じ、それらのマイナスな芽を摘むことになるが、相手をやっつけようとしたショウの場合、相手に投げつけた暴力的な力が自分の中にも生じていた。
これらの力を解き放つ事に、ショウは成功した事になる。
ショウの状況を彼女の内側の視点が見守っていて、その変化を感じ取っていたミヨがアジトで待っていた。 拉致された愛ちゃんや他2人、ショウらがアジトに到着し、結社のメンバーもどこからともなく集まってきていた。
ショウの肉体が目覚めたとき、彼の中の前世での惨憺(さんたん)たる状況やそれに伴う長い暗闇、それと前世と今生の垣根が消えていた。その新鮮さを持って彼は目覚めた。 眼を静かに開けでみんなに微笑を浮かべながら、前世のいつもの口調で言った。
「みんな。。。久しぶりだな。また、あの馬鹿たれどもを征伐してやろうぜ。」
そこに前世からの仲間がいることを、離脱した上空から見て知っていて、みんな日の顔つきをしているにもかかわらず、ショウは前世の彼らの一人一人を思い出している。
その時が、彼ら結社のメンバー全員がそれぞれの前世での状況を認識した瞬間でもあった。みんな、ショウの話し方を観て大声で笑った。
そばで深いソファーに座ってみんなを観ながら例の腹からクック笑っていたギョロメのオヤジ、ナザレの主事が、間を見て静粛に話し始めた。
「みんな座ってくれ。この日は永い間待ちに待ったその日だ。ここまで来るのに、皆どれほどの苦境を超えてきたか私にはわかる。
この東京というこの時間空間は、私達にとって恩恵だ。この大地は私達を受け入れる素晴らしい歴史と知性を持っているからだ。
みんなが前世で体験したドイツとここ日本は共に高い技術に対して開かれているが、全員が転生している日本人の遺伝子の中には量子技術を身体に展開するのにふさわしい美徳がある。
西洋が一神教での争いをしていたのに対し、日本は八百万(やおおろず)の神が住んでいる国と認識し人間は誰しも神であると、敬意を持って生きていた時代があるが、これは私達の真実でもある。
永い間待たせたが、結社ナザレをここに再結成しよう。
私達を取り巻く世界の状況と我々の計画についてはミヨの方から説明してもらうが、ひとまず我々が表向き解散した1950年産のすばらしいドイツワインで乾杯しよう。」
愛ちゃんや他6名の真理の種メンバーがワインを持ってみんなのグラスに並々とワインを注いだ。それを高々と上げ、
「結社ナザレと日本の神々に!」
威勢良く一気に飲み干すのが結社ナザレの慣わしだ。真理の種メンバー合わせて58名の結社がここに結成された。
その後数時間の間、それぞれに思い思いの体験をみんなの前で報告し、笑い転げるもの、気勢を上げ喜ぶものなど、とてもカラフルだった。
その間、主事ことギョロメのオヤジは腹の底からクックと笑いながらみんなの話を聞いている。その存在には、オヤジながら不思議な無色透明な光があった。