白雲の道治療院

白雲の道治療院は、鍼灸術と量子場調整を用いて心身の健康面の向上、さまざまな症状や機能の向上、能力の増大に努めております。

白雲の道で美しく健康な体を!

CODE 046 2012-09-16 233439

No.046 - 第五章 対峙 3

探索

 B(ブライアン)結社の探索が、東京の羽田の拠点に注がれていた。
 ショウを拘束し、拷問を仕掛けようとした4人の男達は脳に梗塞を起こし、今も歩く事も話すことも出来ない。主事の前でバタバタと倒れた7、8人の男達はそのあと一時間ほどして意識が戻って普通に動き回っているが、その時何が起きたのか、その記憶を完全に失っている。

 主事と一緒に羽田の拠点に救出にきた結社のメンバー5人はこの拠点に設置してあるコンピュータや量子装置の仕組みに明るい者達だった。立ち去る時に、これらの装置を破壊し足跡を消し去った。そのため、主事や尋問していたショウ、その仲間がどのようにこの拠点を去ったのか、またどこに向かったのか、このショウやその仲間はどのような種類の人間なのか不明なままだ。

 スイスの地下都市に設置してある、全世界を監視する量子場解析装置と振動解析装置にも捕捉されないように、主事はその場を去るとき、その場所の波動と振動を5時間前の場にすり替えた。主事はこれらの装置の限界を知っていたからだ。

この2つの装置は、世界の管理システムの要で、監視カメラや人工衛星からの分析画像よりもかなり進んでいる。
 この世に存在している物質は全て、形と波動と振動の3つの側面を併せ持っている。波動だけでは実質的な力はないし、振動だけでも正確な情報は得られない。
 
波動とはその物が発する波の総体であり、振動はその物が実質的な振動だ。この両方包み込んで存在たらしめているのが形である。もし、この形がなければどんな埃であろうと宇宙であろうとこの世に存在できない。

 たとえば、除夜の鐘が鳴り響いているとする。その時その鐘の音は波動になって寺の周りに広がり、もう一方の釣鐘の青銅は固有の振動をしている。
 
科学的な事として、この時の音である波動と青銅の振動、そしてもう一つ釣鐘の形の三つには一定の関係が常に成り立っている。
 この3つのうち2つが明らかになると、座標である地球上の位置により必然的に3つの全体が知られる。

 B結社の技術陣はこのふたつ、地球が持つ波動の総体を量子場解析装置と地球の振動状態をその総体で解析する振動解析装置を使って、世界のどの位置であっても、過去2時間以内であれば、半径50メートルほどの範囲を立体画像によってつぶさに映し出すことが出来る。

 B結社はその装置で、東京羽田にある彼らの拠点を調べていたが、その時の状態を画像表示する事が出来ないでいた。その理由はブライアンには、予想がついていた「主事はおそらく場の時空間を移動したのだ。」

 B結社のかなり進んだ技術力からも、主事を物理的に捕まえる事は難しい。もし、捕まえても時空間を変化して消えてしまうなら、何が出来るだろう。しかし、主事の画像を採取することが出来ると、その場を量子的にどのように変化させているのかを知る事が出来る。そのためにブライアンは主事を以前からこの装置によって追いかけている。

 ブライアンは思った。
 「あのオヤジがパラレル世界を移動している事は、想像のつくことだが、もしその通りなら我々は危険な状況にある事になる。極端な話、一人で熟睡している時に寝首をかかれることもありうる」

 「それを実行しないのは、パラレルワールドの移動に何かの制限があるのか、それとも彼の甘さなのか。
 自分は主事の右腕だったショウを惨殺して結社ナザレを解散に追い込み、更にミヨを含む構成員の多くを抹殺した。その自分を主事は八つ裂きにしたいほど憎み狙っているに違いない。

 「だが、わからない。彼はキリストの意識にもっとも近づいた男といわれている。彼はその右頬をぶたれても左の頬を差し出すほどの、馬鹿なキリスト意識を信じ、人を殺す事も出来ないのか。。。
 
しかし、、、今回の東京の拠点で私達のエージェントの脳を梗塞させたり、記憶を消失させたりしたようだが、それを見ると彼もキリストではない。」

 結社ナザレが神々のような進化を遂げようとしているのは、知っている。
 そのような馬鹿げた進化など自分には興味はないが、主事には底知れない力と恐怖を感じていた。