[No.174]愛モード
2004年02月27日(金)
2月27日(金)天候晴れ
ある一組のカップルが愛モードに入っている。
お互いに観つめ合っているが、彼らは見つめ合っているのではなく、相手を自分の身体と心の全体に映して熱く観じている。
彼らの間にはシルクのような滑らかな空気の流れがある。
だから相手の動き一つ一つがこそばゆい程にうれしく観じる。
いま彼らは知っている。
その空間がお互い共に存在する最も価値あるそのものである事を。
その中に二人の美や喜びや不安さえもお互いの心の中からためらいなく浮上するが、その空間の中でそれらが昇華し癒されてゆくのを共に観じている。
彼らにも以前、お互いのイメージのかぶせ合いやその争奪戦があった。その中で燃えた愛もあったが、それはあまりにもテレビや映画に影響された押し合いへし合いでの愛のベッタラづけのようだった。
不思議な事に今、彼らの愛はお互いからだが触れ合わなくても触れ合っているのを観じ、お互いに自由だというのとはまた違う滑らかなシルキーな自由が彼らの回りに纏わりついている。
彼らはお互いに気がつきつつある。相手の存在そのものが自身の中に神や女神を創造しているそのきっかけになっている事を。