[No.164]知るべきいくつかの法則
2004年02月15日（日）

2月15日（日）天候晴れ
数日前、映画館にラストサムライを観に行った。
この映画の内容は日本の時代の流れから去りゆく武士道を美しく描いた作品だ。
この中で壮絶にも戦いの中で舞う日本刀の美しさは見ごたえがあったし、武士道の美学もなかなかのものだったが、私にはどこか抜けていると感じずにはいられなかった。
確かに武士道には命をかけて仕え、自らの死を持ってその真実を貫く生き方には存在を賭けた信憑性がある。
しかしそれは古来日本からの精神を極めようとした人達のその時代の決断であって、権力に取り込まれた中での媚びた精神が美しいわけではない。
日本人は忠実であり勤勉だと言われるが、その事で日本人が世界から評価されているならそれは心外なところだ。
それは「権力や権威に取って都合の良い人種です。だから使ってください」と言っているようなものではないだろうか。
それが悪いわけではないが、日本のすばらしさは精神を極めた美意識が単に哲学ではなく、それが個々の命を賭けた生き方と力を持っている事だ。
そんなところから世界に類を見ないあの名刀正宗や多くの切れ味のいい食文化が生まれているのだと思う。
女神の存在も美しくたたずむだけではなく、壮大な世界と切れ味のいい力がその背後にはある。そこには名刀を創り出した技術があるように知るべきいくつかの法則があるが、その事に誰も気がつかない。