白雲の道治療院

白雲の道治療院は、鍼灸術と量子場調整を用いて心身の健康面の向上、さまざまな症状や機能の向上、能力の増大に努めております。

白雲の道で美しく健康な体を!

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No.086 - 第九章 The show 6

正しい者と悪者の間

 アザミの研究は小型の瞬間移動装置の動作確認を繰り返しながら進展していた。

 以前から気になる現象があった。今回の銀座に仕掛けられた爆弾を羽田ビル地下に移動させた時もそうだったが、わずかではあるが、時間と空間の関係において時間差が観測され、この装置の性能が高まるにつれ、それが顕著に現れ始めていた。
その事を調べるため、アザミの隠れ家であり研究所でもある銀座から数キロの離れた民家地下に籠り研究を続けていた。理論的にも現実的にも、つじつまの合わない点があったからだ。

 もし、瞬間的に物体が消え、その同じ物体が他の地点に現れるまでの時間が多少なりともかかるのは量子がある程度の域値レベルに達するのに要する時間として理解できるが、逆に時間がマイナスになる事がしばしばあった。

つまり、移動させる物体が消える前に移動させようとしている場所にそれが現れる事があったのだ。

 今回の場合、その時間差が10分の1秒程観測され、この事は僅かに過去の時間に物体が移動したことになる。これは量子力学が常識を超えている。それ以上にアザミの数学理論認識をも超えていた。
 
そのために自分が認識していない要素が隠れているに違いないと思い、この数ヶ月人知れずその探求に勤しみ,悪戦苦闘の末に数週間前、この不可解な問題の突破口を見つた。

それは主事から託された魔の力学が関係していた。
 
通常、量子の性質は双子の性質,つまり量子は観察された瞬間に観察した本人と観察された対象物の両方において等分の双子のように出現する。

例えば特定の人を心にイメージし、その人を意識的に愛と共に想うと、その意識された観察によってその愛に相当した場と量子を相手側に創り出すが、同時にそれと同等の量子が自分自身の中に出現する。これが双子の性質で「人を恨まば穴二つ」に代表されるプラスの量子の性質を表す。
 
しかし、マイナス的な魔の力学は相手に死や不幸を願いそのように観察すると相手にはそれらの場が形成されるが、自分自身には反対に生命力や幸福感が生じる。

 この力学は、魔術においては不可欠のものだが、主事は量子場からこの力学を解明し感情に左右されない正しい心を持ったアザミにその知識と能力を託した。

ナザレの叡智の保持者としてどんな危機にも生き延びて欲しかったからだ。
 
アザミは幾多の試みでこの魔的な現象が量子の双子の性質の中にも潜在している事に気づいた。
 
陰と陽のこの世界において、もし陰性のみを展開するといずれその中に陽性が生じてくる。それはちょうど、世界の人間の全ての男性が死に絶え、女性だけの社会になったとすると、常識的には人類は絶滅するだろう。

しかし実際は女性の中に非常に少ない確率ではあるが、肉体的にも男性化する者が現れ子孫が続く。

 同じように量子の双子現象は女性的な受容的性質を持っているが、その中に非常に小さな確率で男性的な能動的な魔性が潜んでいる。
 
この魔性の力学を彼女はもう一つの量子の反面として数学的にも知っていた。
 
もし、瞬間移動の僅かな時間差が潜在している魔の力学によるなら、もっと大胆に二つの異なる現象を展開し、時間と空間を意図して変化させる時間移動装置、つまりタイムマシンが可能になる。

そのように直感し、試作を始めた。
 

その理論と装置が現実に近づくにつれアザミは思った。
 
「より深遠な真実は正しい者と悪者の間にあるのかも知れない」

 もし量子場の双子の性質と魔性を持った性質、その両方を展開することで時空間が解放されるなら、真実はその両方を超えた所にあるに違いない。