白雲の道治療院

白雲の道治療院は、鍼灸術と量子場調整を用いて心身の健康面の向上、さまざまな症状や機能の向上、能力の増大に努めております。

白雲の道で美しく健康な体を!

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No.085 - 第九章 The show 5

もう一方の夢

 ミーナが銀座のホテルからブライアンの用意されていた目黒の邸宅に移って来た。それは以前から予定されていた事だったが、ミーナはあまり気乗りしなかっ
た。
 
東京にしては広大な敷地を占め、大国の大使館程の趣を持っている地上3階地下3階の強固な建物だ。特に地下3階は完全に独立した空間で、そこにリーラが軟禁されており一般には見る事が出来ない科学装置が並んでいる。 

外にも中にも選りすぐりの屈強なガードマンや有能な職員がうろついていて、その2階の中心部に広い居住とベッドルーム、トレーニングルーム、またその居住空間とはくっきりと区分けされた最新鋭の擬似体験装置や世界の主要都市に張り巡らされた通信と監視設備がおかれている司令室がある。

 ブライアンは、居間のゆったりとしたソファーに座ってミーナを迎えた。
 「ミーナこの前、スポーツクラブでミヨといっしょだったのは知ってたけど、余裕がなくて話しかけられなかった、後で悔やんでいたんだ。」

 「貴方には珍しい事ね。でもミヨさんに対してとても誠意を感じ嬉しかったわ」
 
「そうか、よかった。心配していたんだよ。ところで東京はどうだい」
 
「素晴らしいわ。毎日ワクワクよ。でも昨日の夕方びっくりしたわ。すぐ近くでロケット包が爆発したのよ。救急車が押し寄せて大変な騒ぎだったみたい」
 
「そうか。帝国ホテルは近くだったね」
 
「その騒ぎは知っているのね」
 
「んっ、その事で少し話しておきたいことがあるんだ。いいかい」

 「もちろんよ。ミヨさんやショウさんの住んでいるらしいビル近くなので心配
していたのよ」
 
「そうか、少し複雑な話になるけど、正直に話そうと思う。落ち着いて聞いてもらいたい。その前に、あるビデオをみてもらいたいんだ。ショウに関する事だ」

 「ぜひ、みてみたいわ」

 ブライアンはそのビデオを居間の壁に設置してある大きなスクリーンに映し出した。内容に変更はなく、機銃を持った20人程の武装した男達が、ビルに侵入し機関銃を撃ちまくる所から始まっており、本棚を引き剥がし、壁をなおも撃ち抜いているシーンが少し続いた。その銃撃が一段落して静まり、その壁が映し出されている。

 その壁が少し明るくなったと同時に壁の前にショウが現れた。

 その瞬間ミーナは心臓が張り裂ける程の興奮を覚えた。

 静かな、しかし気然とした声でショウが周りの男達に向かって話しかけた。その後一斉に凄まじい銃撃音と悲鳴、男達の惨劇。そしてショウがビデオに向かって「そのビデオを持って帰れ」といっている。そこでビデオは終わっている。


 「昨日の銀座の騒ぎと関係あるのね」
 
「その通りだ。その後ショウは外に出てロケット砲騒ぎになった」
 
「でも、ショウはロケット包を持っていないわよ」
 
「そう、外の連中が持っていたのさ。その包口を今の機関銃とおなじ、下に向けさせた。奴は既にテレポーテーションや奇妙な能力を持ち合わせている。」

 「すっごいわね、、、、でもどうしてこんな惨事に」

 「そこさ、話したいのは。正直に話す。あの銃撃は私の配下にやらせた」
 
「え、えっ。ブライアン、どうして、誠意を表したんじゃないの?このビルの中にひょっとしたらミヨさんも居たかもしれないのじゃない」
 
「興奮しないで聞いてくれ、ショウからの宣戦布告はスイスにいた時に既に受け取っている。私は奴の事はよく知っている。以前にも話したと思うけど、奴は単純だけどあっぱれな奴だ。敬意を持っているぐらいだ」
 
「では、どうしてあんなひどい事をするの。あんなに恐ろしい人達に襲わせるなんて」
 
「それは、彼らがどれほど進化しているか,どうしても知る必要があったのだ」
 
「ナザレを破壊するため!それとも何!」

 「いや、違う。一掃するならあの様な無骨な手段は取らないし、決して私は表に出ない。ユダヤの金融を根こそぎ奪った時の様に用意周到、裏から破壊する。今でもそのようにできる」
 
「では、彼らに何を企んでいるの。正直に話してください」
 
「そう話そう。そのつもりで話している。その計画を君にも理解してもらいたい。
、、、随分と前の話になるけど、青年の頃私は夢をもってナザレに参入した。その夢とは人間自身の進化だ。


その頃、戦争の血生臭い時代で私は、その暴力と騙し合いにはうんざりしていた。
 うんざりと言うよりも心底彼らに憎しみがくつくつと湧いていた。だから人間の進化には惹かれながらもナザレを後にし、キチガイの様な政治家や金融、暴力的な社会を闇からから破壊する事を計画し実行した。それが功を奏して今に在る。

 しかし、もう一方でショウの様な人間がその進化に突き進んでいる。それは私のもう一方の夢だ。

 その夢が、真実のものかどうか確かめたかったのだ。もし生半可な綺麗ごとや夢のような空理空論を追いかけているなら、破壊するつもりだった。しかし、現在に転生したショウは素晴らしい。あれ程の暴力の中で誰も殺してはいない。
 
だから、急には無理だが少しずつ彼らに接近し,運命を共にしたいと思っている」
 
「、、、分かったわ。もしそれが本当になったらわたしも嬉しいわ」
 
「きっとそうなるさ、でも随分とナザレから離れて悪義な事を行って来たので行き違いがまだまだたくさんあると思う。その隙間を時間をかけてうめてゆきたい」
 
「わかったわ、もっと確かめたい事がたくさんありますが、素晴らしいわね」