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No.083 - 第九章 The show 3
反転
午後5時を待って襲撃が始まった。銀座は重厚でしっかりとしたビルが立ち並び人通りが多い街だが、少し街中に入るとあまり人通りのない静かで居心地が良い空間がところどころにある。
その様な所に特にしっかりとした構造を持った重厚なビルがある。そのビル目がけて屈強な殺し屋達20人ぐらいが離れたところから急ぎ足で人ごみの中を通りこの2階のショウの治療所に侵入した。
その時治療所には患者さんが誰も居なく、ショウも奥の隠れ部屋でくつろいで居た。
玄関に人が来ているサインが点灯しスクリーンにたくさんの男達が機関銃を持って入って来るのが見える。
「バカどもめ」ショウはぼそりとつぶやき、隠し部屋にいる仲間に向かって「バカどもが侵入して何か企んでいるようだ。ナザレの全アジトにその様に連絡しておいてくれ」
そのすぐあとに工事現場のド、ド、ッド。ガ、ガ、ッガッという音がビル中に響いたが、この隠し部屋は特殊な構造で作られているのでそれ程の恐怖を感じる程度ではないではない。
機関銃を持った殺し屋連中は、侵入するなり周りに誰もいない事を確認した後、治療所の中を機関銃で散々に破壊し、隠し部屋のある本棚を引き剥がした。彼らの情報網ではこのビルの大きさからいって隠し部屋がある事を予想されていた。
しかし、その隠し部屋の空間はここに移って来た時に厚い鋼でシェルター程の強度で包み,遮蔽してあるので機関銃で破壊出来るような軟弱なものではない。
この状況を高感度ビデオで記録していた男が言った。
「この壁の強度は外からロケット砲でないと破れませんな」
殺し屋たちの専門は人を抹殺する事だが、建物を破壊するのには慣れていない。
そんなものかと全員の目は壁に集まり、まじまじ見た。
その瞬間、壁が少し明るくなり、そこにショウがゆったりとした立ち姿で現れ
「バカヤロー。」
皆びっくり仰天して後ずさりし機関銃を慌てて構えなおし、ショウに向けた。
「お前ら撃たない方が身のためだぞ!」
「、、、、何?」
ボスらしい男が冷たい声で
「殺れ」
銃声が鳴り響いた。
「ギャー。ギャー。ギエー......」
銃を持っていたもの達は全員ショウに向かってムチャクチャに射撃した、、、そのつもりだったが、実際は自分の足に向かってムチャクチャにうちまくっていた。
そのために、全員倒れこんで自分の足が吹き飛ばされているのを見、その痛みでわめき騒いでいる。
その中のビデオ機材を持っている男だけが、呆然と立ちすくみ足が震え、逃げるに逃げられない。その男に向かってショウはぶっきらぼうに言い放った。
「そのビデオをもって帰れ、羽田には帰るな。帰るなら死んでも知らないからな」
外では、中のすさまじい銃声音の様子をうかがいながら高性能爆薬でビルを吹
き飛ばす準備をしていた。
その時、ビデオ機材を持った男は外に出るや否や周りの仲間を後に逃げて行った。
そのあとに腕だけで足を引きずってビルから出て来た男がやっとの思いで報告した。
「み、みんなヤられた......」
「何~? バカな。武器はなんだ、武器は何だ!」
「わ、わからん。機関銃かと......」
「みんなヤられたんだな。よし! ビルを爆破させる。そのまえにロケット砲
であの2階のフロアーを吹き飛ばしてやる」
そのとき、ショウがビルの中から涼しい姿で出て来た。
「あいつか?」
「そっそうです!!」
「アレでふきとばしてやる!」
ショウは
「ひどいめにあうぞ!!」
「殺れ!やれ!!」
ロケット砲が火をふいた。
しかし、先ほどと同じ砲口は真下に向かって爆発し、周り一面が地面から持ち
上がり、その周りにいた連中ほとんど全員が吹き飛ばされた。
少し離れて立っていた指揮官の男も爆風を受けて足元が焼きただれていたが、意識はしっかりとしていて
「コノヤロウ!」
と叫ぶが速いかビルに仕掛けた爆弾のスイッチを押そうとした。
「やめろ。やめろ! ひどい目に合うぞ」
「何~......それはおまえだろー!」
そう言ってスイッチを押し、なるべくビルから遠ざかろうとしたが、足が焼け
て動かない。
「く、くっそー」
身を伏せて爆発を待ったが、何も起こらない。
ショウは治療所に壁を抜けて現れる前に、アザミに連絡を取ってビルの周りに設置されている爆弾を羽田の管理集団のビルに瞬間移動出来るかどうかを確かめていた。
その時、この様子を衛生回線で見守っていた宇野がいる羽田のビル地下5階から爆弾が炸裂し、一瞬にしてビルが45度ほど傾いていた。
ショウはロケット包の爆烈でうごめいている連中を見廻り、なおも這いずって
逃げようとする司令官に向かって、
「残念だったな、、、、かえって報告しろ、どんな武器も反転する事になる」と
司令官はショウが何の事を言ってのか、わからないままけが人をまとめて、退散した。