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No.081 - 第九章 The show 2
能力の再確認
羽田の宇野と戦士のリーダーであるシュタインがその日のうちにダイアンの邸宅によびつけられた。
ブライアン閣下が東京に来ている事を知っているので、何か重大な指示があるであろう事は予想できたが、そんなに早くナザレの一アジトを攻撃するとは思っていなかったこの2人は、お互いに顔を見合わせた。
「以前、宇野の配下がショウの治療所に踏み込んだ時の事は、ブライアン閣下も知っている。その時に閣下はショウを前世からの因縁を持つ者であると認識したらしい。その認識とは知っての通りナザレの重要人物である事だ。
そこで、閣下は今回彼らの力量がどの程度に進化しているか再確認したいと思っているらしい。
その事を踏まえて宇野の屈強なもの達に武力的な攻撃を加えてもらいたい。その状況をスイス本部から量子解析装置でも追っているとの事だ。」
「武器はどの程度のものでしょうか」
「それは宇野、おまえに任せる。最終的にビルごと崩壊しても良いとのこと」
「では、最新の爆薬をつかってもよいのですね」
「まあ、そうだが始めから派手にやるな」
黙って聞いていたシュタインは事の状況を確かめるために発言した。
「ブライアン閣下はナザレを敵とみなしたのですね」
「シュタイン、そこのところは私にもわからない。だからと言う訳ではないのだが、おまえ達戦士にはこの攻撃に参加しないでもらいたくないのだ。だがこの様な状況が起こる事は全員に通達してくれ。もし、この攻撃でナザレを救済したいならその様に行動しても良いと閣下は仰っている。
ナザレがおまえ達に量子場の技術を開放しているのと同じ様に、おまえ達が彼らを助ける意思があるならな、その意思をナザレに開放しようとしているのかもしれない。
手を差し伸べるにしてもしないにしても、どちらにしても創造の戦士には完全な自由を与えているとの事だ」
「では、まだ彼らはまだ我々の敵にまわったわけではないのですね」
「一応はそうだ。しかしナザレは我々を敵と思うに違いないから気をつけてもらいたい」
「分かりました」
「宇野、あのビルの中は結界が張られているので、スイス本部の量子解析には限界がある.だから振動解析装置を今晩中にあのビルの外壁に設置しておけ。本部からも解析出来る様にだ。羽田からも後々調べられるように方々に画像や種々の検知機で記録の用意をしておけ」
「はっ、分かりました」
次の日、
羽田の工作員、その中でも30名ほどの屈強な殺し屋が緊急に集められ、午後五時の襲撃に備え武装を急いでいた。
宇野は一度ショウに妙な力で脳を梗塞され、ひどい目にあった経験があるのだが、その事を配下に注意や説明をしなかった。志気を低めたくない事もあったが、同じ事が起きた場合,その記録が今回のブライアンへの手柄になると思ったからだ。
だが、ブライアンの直接の指示でもあるので失敗はゆるされない。そのために装備は万全でビルの外周りにはロケット砲数台を用意し、飛び出してくるか応援してくるかもしれないナザレには機関銃で蜂の巣に出来る人員を配備した。
この日の早朝、シュタインは襲撃がある事を創造の戦士達全員に知らせ、我々は襲撃に手を下す事は出来ないが、ナザレを救済する事は自由であると伝えた。
それを聞いた戦士達の多くは傍観する事を選んだが、トロンと量子研究会のリーラの二人は、その情報をそれぞれに親しいそれぞれユキ子とケンジに知らせようとした。
二人とも熟考した後、トロンは何か裏があると思い銀座のビルに最も近い所で救済のチャンスを待つ事にし、リーラは携帯電話での連絡はリスクが大きいと考え、ケンジの住むマンションに車で向かい、その事を知らせようとしたが、ケンジのマンション前でブライアン直属のガードマン数名に拘束された。
その様な状況で、午後五時襲撃が始まった。