白雲の道治療院

白雲の道治療院は、鍼灸術と量子場調整を用いて心身の健康面の向上、さまざまな症状や機能の向上、能力の増大に努めております。

白雲の道で美しく健康な体を!

CODE 065 2012-10-17 211052

No.065 - 第七章 愛 1

叡智に基づいた愛

 アザミの世界が激変していた。今まで感情を露にした事は一度もなかった彼女は、美形ではあったがあまりにも中立的であったがため、周りからは目立たない存在だった。
 
しかし、彼女の存在は今、生き生きと輝き周りにわかるほどくっきりとしていた。それは生命力が格段に高まったからで、感情的に生き始めたからではなかった。
 
体全体が際立った生命力によって、重さを全く感じさせない。そのためもあって彼女の周りまでも、一段と異なった輝きを感じさせる。


 スポーツや筋トレなどで鍛えた身体には、どうしても気だるさや、消耗的な雰囲気が漂うが彼女にはそれがない。

彼女は、更にみなぎっているエネルギーそのものを使って、からだの骨格や筋肉を含めた身体の全体を再構築していた。

 量子場を活性する方法として二つの方法がある。一つは意識と意図であり、もうひとつはエネルギーそのものだ。
 意識的な使い方に法則があるが、エネルギーは「創造の法」そのものをその中に内包している。
 アザミの場合、無意識層にすでに量子の法則性、その力学が数式を伴って刻み込まれている。この「意識と意図」とエネルギーの両方の法が活性していた。
 

基本的に、はじめに意図があり、次に意識がその意図を孕ませるのだが、彼女の場合はその前に莫大なエネルギーが直接からだの血行や体液、細胞を変化させていた。


 アザミの周りにはブライアンの殺し屋やエージェントがうろついているのを知っていたが、動揺はまったくない。実際は彼らが監視しているよりも、彼女の方が彼らを監視しているといった方が正しいかった。

 そんな、アザミがミヨやショウ達が通っている恵比寿のスポーツクラブでスカッシュを始めた。以前、一緒に遊んだことがあるが、その時はあまり興味を持たなかったが、エネルギーが満ち競技よりもそのような自分に夢中になっていた。

 その帰り、ミヨの結界で守られている銀座の高級レストランにミヨとショウの三人が食事をした。

 アザミが話の本題に入った。

「わたし、結社に迷惑をかけているかも知れない」
 
「あの殺し屋のクルーザーの件かい?」ショウが優しく言った。
 
「知ってたの?」
 
「私達、主事を通して知ったのよ。主事はアザミのことを見守っていた様よ。私達も問題なしよ。」ミヨが言った。
 
「それで、主事は何て?」
 
「そう在るべくしてアザミにその技術を託した」と。
 
「アザミはこれからの人間進化の要だとも言っていたよ。僕もそう思う」

 感情を表には現さないアザミには珍しく目が潤んだ。
 
「僕のような人間にその技術を託されると安易に使ってしまうかも知れないし、ミヨだと自分が殺されそうになっても使う事を躊躇してしまうと思うんだ。でもアザミはその力を行使する正しさがあるんだと思うよ」
 
「私、彼らの命を奪い取ったことに何の罪悪感も悲しみもなかったのよ。ただ主事やみんなに迷惑をかけたくはなかったの。安心したわちょっと気がかりだったの」
 
「それは、僕の状況も同じで、ちょっとばかし殺し屋達にイタズラしたからね」
 
「えっ!どんな?」
 
「以前、彼らに愛ちゃんやリョウコが拉致され、羽田の彼らの拠点に乗り込んだ時、やむなく量子場の技術を使ったのだけど、そのやつらが最近、銀座の治療所に感づいて数回殺し屋を向けて来ている。そのやつらをこの能力を使ってちょっとばかし、かく乱したのさ」
 
「なるほどね。遠巻きに私を監視しているのを、こちらからも観ていますが、彼らも私達の能力を把握しようとしているのね」

「そうだと思う。だから彼らには気がつかない方法を取ったんだよ。」

 ミヨが言った
 「今のところ、アザミやショウの一件で大きな動きはないようですが、ブライアンは手の込んだ事を考えますから要注意ね。」

 「そうなんだよ、アザミ...そういえば、最近二人で彼らの拠点であるスイスや羽田の拠点、それに殺し屋の日暮里拠点を調査しているんだよ」
 
「スイスのブライアンの本拠地も調べているの?」
 
「僕一人の能力では難しいのだけど、ミヨの視点に波長を合わせるとスイスに身体ごと移動できるんだよ」
 
「それはすごいわね!ショウ。いつごろからなの?」
 
「2017年のナザレ結社の結成の後だから、1、2年の事だよ」



 「そういえばアザミ、量子世界の数学的な発見が殺し屋に狙われた原因と聞いていますが、その後の進展は? 進んでる?」
 
「それをみんなに話したかったのよ。この発見はその後、進化していてメカにめちゃ強いケンジやコンピュータオタクのトシーと一緒に、今、ある装置を完成しようとしているの」
 
「それって、すごい興味があるな。詳しく教えてくれないか」

「そう来ると思ったわ。ショウ。それはね...量子場を電磁気的に活性して回転させ、物質を瞬間移動させる装置なのよ。この原理は前から理解していたのだけど、地上のどこに移動するかだけが、数学的にわからなかったの。でもそれが数式的に解けたのよ」
 
「...それって、もしかしたら10分のπが関係していないか。」

 「そのとおり!.」
 
「すごいな、アザミ...それが数学的に解けたとのは...僕もずいぶん頑張ったんだけど解けなかった。ある窮地の状況の中で忽然とわかった事で、、僕の場合は数学的に理解した事ではないんだよ」

 
「二人の突破口が同じ比率にあるとは驚きね?」
 
「その装置は、どれほどの大きさとエネルギーを要するの」
 
「まだ人間三人が入れる大きさで、電気乗用車ぐらいのエネルギーで十分なはずよ」
 
「それは、すごいな。ちょうどブライアンが世界各地に設置してある瞬間移動装置を調べているところだけど、その装置は一都市に要するほどの電気エネルギーを核融合から使っている」
 
「おそらく、その装置は装備のある決められた位置同士の移動でしか可能ではないと思います」
 
「そうなんだよ。アザミの装置は違うのか」
 
「今回は、まだ実験のためのもので、せいぜい距離的に6キロほど、この装置の中から移動出来るだけですが、その範囲ならどこにでも移動できます」
 
「それなら、敵に包囲された場合逃げ切るには十分だね」
 
「もう一つ、絶対絶命の状態に追い詰められたとき、その場所の座標とその人の波動が決まればそこから救救出できる能力があります」
 
「それなら、ブライアンの装置の能力を超えているな。逆に言うと、このノウハウが盗まれると我々に危険が及ぶかも」

 「その時は、自ずと崩壊するように設計してありますが、完成してからいろいろ調べて、進化させるつもり。今の装置は無謀に殺略を繰り返す連中を私のブラックマジックの殺傷から守るためでもあるんです。敵も死にたくはないでしょ。」
 
「 なるほど、アザミを攻撃すると彼らはひどい目に遭うからな。そのとき彼らを守るために、アザミがその場からこの装置の中にテレポートするということだね」
 
「そうです。私の波動状態を装置に常時セッテイングして、連携をとってあるのです。」
 
ミヨが言った
 「アザミらしいわね。その事を聞いてうれしいわ。支配を永遠に打ち破るのは、武力やそれにも勝る脅威などではなく、叡智に基づいた愛以外には不可能だと、主事が仰っていますが、私もそのように願っているところがあります」
 
ショウが胸を張って言った。
 「もし、人間の潜在している能力をアザミやミヨのような女性達が持つなら、どんな支配であろうと無意味になるな!」