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No.040 - 第四章 接点 13
クローン
ナザレの結社が表向き解散したが、1980年の東京に転生し2017年に結社を再結成するつもりである事は結社の何人かを拷問した時に、彼らの吐く内容から知っていた。
その当時、ブライアンは50才になっており第二次世界大戦が終戦し新たなスイスのアジトで今後数十年のビジョンを構築している時でもあった。
その2017年には自分は117歳になっている事になる。それまで通常では生きられない。そのために、ナザレの主事が計画したようにブライアンもある計画を始めた。
それは1903年には既にクローン技術を提唱していた科学者がいた。その技術を身体の複製技術としてドイツの科学者に研究させた。
もし、自分のクローンを創る事が出来ると、その身体に移動する事が出来る。彼はそのことが、可能である事を直感的に知っていた。ナザレの主事が研究している自身の身体の周りに量子場を発展させる事は自分には難しいが幽体離脱の技術には長けていた。
幽体離脱は意識的に身体と自身の意識を分離する事だ。それは彼が孤児院にいた頃頻繁に幾度となく自然に起きていた事で、その意味するところは、その当時全く分からず終いだったが、ナザレの主事から、その意味を知り彼なりに取り組んでいた現象だったからだ。
幽体が離脱しているときに、意識の働きとして自然に、もとの身体に意識を戻そうとする力が働く。それは慣れた波動を持った身体に引き寄せられるからだ。
誰しも致命的な肉体的な損傷を受けると意識は同じような離脱状態になる。もしこの時戻ってくる身体の息の根が止まっていると戻って来れない。
逆に見ると、意識が離脱状態になっているときに、本体の息の根を止め、クローンとしての自分の遺伝子と同じ体が、自分の本体の身体のそばにあるなら、意識的な選択として新しいクローンの身体に移動出来る事になる。
この事をブライアンは実証しようとした。クローンを育てる技術と幽体離脱の、両方の努力に20年ほどかかったが、1970年のときに初めて自分の遺伝子を持つ5才ぐらいにまで成長したクローンの身体に数分程の移動に成功した。それから10年の間、何度となくこの普通では考えられない努力と実験を繰り返し、2000年に今までの身体を捨て去って20歳にまで育てた新しい身体に完全に移動した。
そのためユダヤの結社を葬り去った2013年はクローン齢33歳の時で、今現在の2017年には37歳のブライアンがそこにいた。
時同じくして、ショウやミヨ、他ナザレのメンバー数十人が、同じ年頃で東京に生まれ変わっている。