白雲の道治療院

白雲の道治療院は、鍼灸術と量子場調整を用いて心身の健康面の向上、さまざまな症状や機能の向上、能力の増大に努めております。

白雲の道で美しく健康な体を!

CODE 035 2012-09-04 134300

No.035 - 第四章 接点 8

謀略

 狡猾な蛇が、獲物である蛙に音もなく忍び寄り、今にも飛びかかろうとする、その瞬間を、空から鷹が狙っている。
 
鷹は蛇がとても注意深く、地面を這うようにジグザグに進むため、普通の状態ではなかなか捕まえる事が出来ない。下手をすると逆に噛み付かれ地上戦になる可能性がある。そうなると自分の命が危うい。

 そのため、その鷹は上空を回旋しながら、自分に危険がふりかからないように獲物を仕留める隙を狙っていた。それを知らずにその蛇は蛙を見据え鎌首を上げた。その時を待っていましたとばかり、その鎌首めがけて急降下し、蛇の最も弱点である、首根っこを後方から鷲づかみして上空に舞い上がった。
 
そうなると毒蛇と言えども、どうする事も出来ない。鷲の口ばしで致命的な一撃が目や頭部にやってくる。

 これはナチスという毒蛇の大群がロシアの白熊を狙って襲い掛かかろうと歩み寄っているその時、正義の味方気取りの大鷹であるアメリカが空高く、遠くからその動向をうかがっていたのと同じだ。
 
ナチスはその獲物であるロシアに噛みついたはいいが、反撃を食らい本国にまでその白熊がやってきて、その巣をその太い足でつぶされてしまった。結局ナチス帝国はアメリカを主導とする連合軍によって陥落した。
 
アメリカの大鷲をはじめとした連合軍は退治してしまうべき毒蛇そのものより、はじめから狙っていたのはナチスの宝物だった。
 
その宝物とは優秀な科学者や技術、兵隊やスパイ養成などの専門家だ。この時代、ドイツの軍事科学技術力は世界でトップレベルにあり、特にナチスの優秀さは格段に高かったからだ。

 この戦争の主導的な役割をしていたアメリカをはじめとしたロシア、イギリスは戦争終結後にその嘴(くちばし)で啄ばむように彼らを選別しその足で彼らをつかみ空高く舞い上がり自国に連れ去った。彼らから科学技術と軍事技術のノウハウを吸収するためだが、用がないと判断された政治家や個性のない官僚達は、体裁を整えるために戦争犯罪者として処刑された。


 敗戦国に本能をむき出しにして群がり、むさぼる彼ら連合軍のお利口者のサディスト達、彼らは闇の世界から狙われているなどとは微塵も気がつかなかっただろう。それがサディストの致命的なところだ。

 ブライアンは彼らの動向の一部始終を、スイスの闇の結社のアジトで冷やかな目で観察していた。彼らの手口はどこもそう変わらない。

利口者の権力者は、いつも宝物を見つけると用意周到、世界に自分自身をアピールしながら正義を振りかざし、猛然と襲い掛かかり、その正当性をでっち上げる。その背後では、一般には知らせていない奪い取った獲物を、それぞれのねぐらに持ち帰り、特権的に楽しんでいる。