白雲の道治療院

白雲の道治療院は、鍼灸術と量子場調整を用いて心身の健康面の向上、さまざまな症状や機能の向上、能力の増大に努めております。

白雲の道で美しく健康な体を!

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No.031 - 第四章 接点 3

指令

 ブライアンはショウを亡き者にした数週間後、一度だけ結社にそ知らぬ顔でやってきた。イニシエートを求め参入して来る、若き心熱い者達の物色にきたのだが、偶然出会い頭にミヨに合った。

 ミヨはブライアンを見るなり、視線が止まった。そして深い憎悪の感情がその目に見て取れる程、急変し冷血動物に近いブライアンでも、その瞬間ぞっとして思考が止まった。
 
「私はあなたを死んでも許しません。」

 「。。。。。。。」
 
ブライアンは気が動転して言葉が出なかった。自分が黒幕である事はだれも知られていないはずなのに、彼女は知っているのか。それよりも彼女に遭ったらラブコールてみようとまで思っていたのだから無理もない。
 

ミヨは自分を睨みながら去って行き、その後を追うことも、それよりも一言も声が出なかった自身を強烈に恥じた。

それから以後ブライアンは二度と結社には戻らず、今でも自分の本心から発した恋が実らなかった事がトラウマのようになっている。
 
その後、前世のミヨは身を粉にして、結社のために働いた。ミヨの心の中の本性は母性に深く根ざしている。ショウを失ったその心の隙間を必死で埋めるために、結社の人たちを一心にケアしていた。
 

しかし、その隙間は埋められず何度もブライアンやその不良分子を恨み、黒魔術の道を模索した事もある。彼らを恨み殺したかったのだ。そうせざるを得ない感情の起伏が波のように押し寄せてきていた。もし、そのことで自分の命が尽きようとも、かまわないとまで思った。自分には失うものは何もないと思っていたからだ。


 月日が経ち、感情の泥沼にまみれている自分の姿を、本来の理知的な側面の自分が観えるようになってきたある日、主事の研究が完成した。

意志をオーラの領域に直接働かせ、その輪を回転させパラレルワールドの時空を飛翔する。
 

その発明者である主事がこの技術を真っ先に教えたのは、ミヨだ。主事から見てこの技術はとても女性的な力であったからでもあるが、ミヨが感情の嵐の中にいることを知って、その途方もないエネルギーを昇華できるのではないかと思ったからだ。

それ以上に彼は長年、心正しく生きていたショウやミヨのようなすばらしい探求者たちに、プレゼントをしたかった。その技術がショウが去って8年ほど後に完成した。主事はこの技法を実際に使い既にパラレルワールドを移動している。


 ミヨはこの技術に、働きかける中で自分自身の傾向や個性について、多くのことに直観的なところから、合点のいく理解として吸収して行った。

理論は難解な数学や力学で占められていたが、主事は直観世界の力学としてもわかりやすく説明してくれたので、それほどの困難はなかった。

 しかし、一つだけ難関があった。それは主事の「感情の嵐を止めよ」と言う事で、ミヨの心の中には愛する者を、悲惨な拷問で奪った結社の不良分子は許せない。特にあのブライアンはどのように考えても許せない。その事は心の底に住みついいた怪物のようにいつもそこにいた。
 

その時期、ブライアン率いる不良分子は少しずつ勢力を世界に向けて広げており、同時に結社に対してその存在を消し去ろうと躍起になっていた。ブライアンにとって結社は自分の過去であり、それをだれにも知られたくなかった。量子場の知識を自分だけにして消し去り、自分の知識と社会の間の橋を壊したかった。
 

主事が研究し続けていた技術が完成したらしいと言う報告を受けて、結社に対する破壊工作は日を増すごとに強まっていた。

 この技術は以前、主事がブライアンに教えた論理的な展開を人間で実証したものだ。結社の数人が拉致されその情報が不良分子に漏れたが、主事はこの訓練技術に関しては、彼らに、この技術が漏れてもかまわないと言った。その理由は支配的な人間がこの技術を自分自身に行っても、ただ身も心も重くなり疲労困憊するだけのことだからだ。


 少しずつブライアンは主事の発見は自分の理解している量子の法則を超えてはいない。人間そのものに展開するにはに個々の心の純化が必要だという事を知った。自分はそのようなものには、興味はない。


 しかし、そのような展開によって人間が通常の人間の領域を超え、パラレルワールドを開きその間を移動するような事になってはいずれ支配の邪魔になる。そのため今の内に彼らを全て抹殺し、この技術を根こそぎ消し去るよう配下に指令を出した。