白雲の道治療院

白雲の道治療院は、鍼灸術と量子場調整を用いて心身の健康面の向上、さまざまな症状や機能の向上、能力の増大に努めております。

白雲の道で美しく健康な体を!

CODE 010 2012-08-10 160155

No.010 - 第一章 内と外の融合 4

謎解き

 行きつけのバーは彼女の存在で私にとっては驚くほど柔らかな雰囲気に変わっていた。その中で言葉を選び吟味しながら、ゆっくりと会話が進行した。
時にその内容を内側の観点に合わせていたため、外からは沈黙にしか見えない時間が続いたが、内側では驚くような世界が展開されていた。そのことで私はこの時間に論理を超えた理解に達した。

 私が聞いた。
 「過去生と現世の間の架け橋とはなんだろうか」
 彼女は言った。
 「それはショウさんの今観ている内側の世界と外側の物理世界を行き来し、見えない糸のようですが、しっかりと結び合っているものです」
 
ならば、私はこの架け橋を知らないことになる。なぜなら外側に架け橋を持っていない。外側世界に内側との間の架け橋を作ろうと思っても見なかったからだ。

2つの世界は異なる内側と外側世界と思ってはばからなかった。
 「では、その架け橋は何らかの形で確認することが出来るのだろうか」
 彼女はハッキリと言った。
 
「それは自ら創り出さなければ確認する事はできません。しかし私が今ここに前世の記憶を持ってあなたの前にいるのは、その架け橋を通ってきた、その証しになれるかもしれません」

 そう言って彼女は私に人差し指を彼女の目と目の間に触れて軽く合図し、目を閉じた。その瞬間私の内側の視点に一連の鮮明な立体画像が進行形で映りだした。

 私は理解した。
 「そうか!そうだっとのか!」
 
 彼女は静かに話し始めた。
 「前世の私の死がやってきたとき、心の中で忘れてはならない記憶とあなたの思いをきつく抱きしめていました。そうすることが記憶を維持しながら来世に移行しあなたに遭える法であることがわかっていましたから。

 それはあなたが逝ってから18年目、私はそのとき50歳になっていました。私達は内側の世界を見る力を持っていたのですが、私はその力をその後さらに進展させていたのです。」

 私の内側で見た内側に映る立体画像には彼女が死に臨み、その現実である身体を離れるその嵐の中で、意識の中の1点を見定め大切な思いと彼女自身の意識が引き離されないように突入しようとしている強固な意思だった。

それはちょうど10年ほど前に自分が意識の中の一点に恐る恐る飛び込んだときの体験に似ていたが、ここには比べ物にならない強烈な意思が働いている。
 
そのとき、私は理解した。意識と意思は似ているが、それには大きな違いがある。私は意識が唯一大切なファクターであると思い、その関係性を量子論的な観点で追っていた。しかしもっと大切なものは大切な思いを抱く意思だったのかもしれない。

 彼女は少し目を潤ませながらゆっくりと話を続けた。
 「多くの思いとその記憶を持った個性が死に臨み意識の中の一点に近づくと、その個性はすさまじい嵐と恐怖のためにそれら、人生の中で得た能力や記憶、思い出を手放してしまいます。しかし私はそれを許さなかったのです」
 
「ここには一般に知られていないシンプルな法があります。もし、この中で大切なものとして、それらを頑なに守りきるなら、それらを保持しながら意図した次の生の中に生まれることが出来ます。これはもっとスケールの小さな身体や人生の出来事でも同じなのです」

 「なるほど、、、」私は内側世界に入りそのプロセスを検証してみた。
 以前自分の悲惨な身体からほどほどの人間になれたのは、内側の一点、そこから始まる穏やかな世界が関係している。もしその事に気がつかなければ今の自分はないのは確実なことだ。では私はこのプロセスで何をやっていたことになるのか、、、。ひょっとしたら自分自身の小さな範囲でのシフトをしていたのか」

 私は独り言のように言った。
 「では、前世からの時空を超えたシフト再生と身体レベルのちょっとしたシフトの間にそれほどの違いがないことになる」

「その通りです。基本的に違いはないのです。私たちは前世でこの事に気づいて、多くの試みを自分自身や社会の必要性において行っていたのです」

 私独自の類推からこのように質問した。
 「その社会的な必要性の試みが、敵を創ったのだろうか」


 
「基本的にそうです。しかし敵は私たちが行った試み以前にすでにいました。
私たちはうかつにもその事に気がつかなかったと言うこと事なのです」

 私はまた、類推した。彼女を前にして少しずつ内側の視点が、私の前世を映し出しもしていた。
 「では、私たちの試みはすでに確立してあった既成社会の何かに都合が悪かったということかな」
 
「そうなのです」

 内側の視界の中に過去生のさまざまな状況が多重的に映ってきていた。その状況は現代社会から比るべるとあまりにも過酷にみえる。
 
「なるほど、謎は解けた。戦おう、ミヨさん。今、二人はその闘いに挑む絶好の時代にいる」
 
[やっと思い出したのね! だから最初に言ったのよ、ミヨと呼んでと。」

 私は久しぶりに心の中から熱いものを感じながら微笑んだ。前世の最愛の女性と彼女が重なり合って微笑んでいる。