白雲の道治療院

白雲の道治療院は、鍼灸術と量子場調整を用いて心身の健康面の向上、さまざまな症状や機能の向上、能力の増大に努めております。

白雲の道で美しく健康な体を!

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No.009 - 第一章 内と外の融合 3

響き

 私はどんな辛さも超えられる気持ちがあるが、逆にどんな楽しい世界が一瞬で崩れ去っても対処できる能力はある。内側世界の多次元的な世界はそのような世界でもあり、そのような遭遇には慣れている。
 しかし、彼女への思いは違っていた。失いたくない思いが心の奥底からどうしようもなく押し寄せ、昨日は愛用の椅子に腰掛け、一睡もせずに様々な事にも思いをめぐらしていた。
 あまりにも多くの考えるべきことがあった。
 自分の今の状況が過去生からの何らかの延長があるなら主観である自分の意識は何らかの形で持続し、維持されているに違いない。しかしその間に記憶としての持続はない。ではその過去生からの継続があるとして、その間に何が存在しているのか。

 彼女の言ういずれ敵が現れるというが、何をもっての敵なのか。その準備を急ぐというのは兵隊のように武器を持って戦う準備でもしろということなのか。私のように世の中に興味のないひ弱な人間の前に敵が現れるというのか。何のために。
 
長い間の葛藤と肉体の苦しみを突破したと言うのは前世が関係しているとしてどんな意味があるのか。
 彼女のことについてもいろいろと思いをめぐらしていたが、この間内側の視点は、あたかも大いなる運命がその子供を自由な世界に投げ込み、その運命を見守っているかのようにただ静かに見守っている。

 いつの間にか朝になり、いつもの喫茶店にいつもの時間よりも早くコーヒーをすすっていた。私はお茶やコーヒをすする時、肉眼の目を閉じる癖がある。その時だ。内側の視界が鮮やかな光にあふれ、気ままな風のように揺れ出した。
 昨日のあのなじみのある、揺らぎと光、その数分後に彼女が目の前にやってきた。

 「昨日はどうも!」彼女のさわやかな声と共に私の内側では光の粒子が鮮やかに揺らいでいる。
 「どうも!コーヒでも飲む時間ありますか?」
 「はい。今日は仕事を休みましたので一日フリーです。ショウさんの予定はどうか?」
  
もちろん私に予定はない。最近は大学院の方もあまり行く気がせず、休学状態になっている。

 「僕もフリーです。あれから頭の中が昨日の事でいっぱいです」
 「私も同じです。今日はゆっくり二人で謎解きをして過ごしましょうか」
 彼女はそう言って、カフェオレを頼み、うれしそうにくつろいでいる。そんな彼女を見ながら、私もうれしくなった。
 
彼女から先に話を切り出した。
 「昨晩はもう少し黙っていようと思っていたのですが、ついつい酔いに任せてショウさんにはショッキングな話をしてしまいました。でもみんな本当のことです」
 
「知っています。私の内側が真実であることを伝えていましたから。ただ僕自身が前世を越えて維持している自身とは何なんだろうかと自問自答していたのです。それがわかると成す術がある」
 
「私が知っている前世のショウさんの響きが今のこの言葉に感じます。物事の真実を深く貫き、果敢に行動するその意思は変わりませんね。その自問自答はいつか近いうちに答えが出ます」
 
「どのようにですか。」
 「私の直観的な観測をお話しましょう。その前に少し歩きませんか、このお話にピッタリの場所を知っています」

そう言って彼女は私を近くの公園や庶民的レストラン、超高級レストランやスポーツクラブなどに立ち寄りさまざな状況を説明してくれた。

 たとえばこんな感じだ。公園では多くの目的の異なる人が、この公園の中でそれぞれに思いをめぐらし、夢を見る。
それは今の私の状況であり、庶民的レストランでは活動力としての力を吸収する必要性。超高級レストランでは人生の支配者的な立場にいる人間がする背伸びした放漫な考え方について、スポーツクラブでは結局のところ自分の身体がこの世界の架け橋であることなど。後で気がついたのだが、彼女はこの時、同時に内側の世界からある過去生の情報を私の内側世界に送り込んでいた。

 しかし本当の謎解きが始まったのは、私のいきつけのバーに帰り一緒に飲み始めてからのことだ。