院長が解説する30の症状と施術
当院の岩尾院長が、さまざまな症状とその要因、そして回復のための施術の指針を解説していきます。
耐え切れない抑圧
長い間インドに住んでいたことがありますが、そこで学んだことのひとつは、抑圧とは何かということです。インドの人たちは昔からカースト制度や非暴力という考え方の影響を受けてきたせいか、社会が個人に強いる抑圧は大変なものです。しかし、日本人の抑圧も人間関係においてはインド人に負けてはいません。
今回はこの精神的な抑圧が肉体にどのように影響していくかを簡単に説明してみたいと思います。
動物でも人間でも、ひどく怒られたり自信が無い状態が続くと、身体を縮めて歩くようになります。この場合、顎や胸、おなかなどからだの前の部分を縮めます。そのため言葉遣いがうまく続かなかったり、心臓の鼓動が急に高まったり、身体全体がいつ緊張状態にあるために過呼吸になり、のぼせたり頭がしびれたような状態になります。
そうこうするうちに身体全体が前に崩れて、いつも不安で疲れているという自律神経失調症的な体質になってしまいます。
抑圧とは精神的に押さえつけるということですが、この場合、物理的にも自己表現に必要な顎の運動や内臓の働きを押さえつけています。
そのためこの治療は、気が滞って緊張しいる顎関節や胸の周りの筋をリラックスさせていくことから始めます。
身体の軸を背骨に沿って垂直に伸ばしてゆきます。身体の軸が精神的な抑圧で曲がってしまうと首筋や背中、腰のどこかの背骨の位置がよじれ、痛み、それに結合しているあばら骨の下にある内蔵が圧迫される、というように連鎖反応が進み、精神的にも身体のよじれからの不快感や内臓の失調がその人の個性にフィルターをかけてしまうからです。
また男性は多少の抑圧やハングリー精神が力になることもありますが、女性にとっては体調やプロポーションを崩し、肥満やヒステリーの原因になってしまいます。これは女性のエネルギーは男性に比べて内側から外側に向かって広がろうとしていますので、身体の内側にエネルギーのブロックを作ってしまうのです。
これらのゆがみやブロックが進めば進むほど元気がなくなり精神的にも抑圧されざるを得なくなります。
しかし、これらが進まないように十分にケアすることは出来ますし、時間はかかりますがこれらを取り去ることもできます。